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万葉の伝統 の商品レビュー

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2018/09/18

 タイトルとはやや異なり、「日本の抒情詩の伝統を、万葉の伝統と古今的・新古今的伝統との対立し絡み合った流れとして捉える」文芸評論および日本文学研究書である。  前半はタイトル通り万葉の解説で、これを期待してこの本を取った私には読みごたえがあった。一方後半は終戦直後に書かれたようで...

 タイトルとはやや異なり、「日本の抒情詩の伝統を、万葉の伝統と古今的・新古今的伝統との対立し絡み合った流れとして捉える」文芸評論および日本文学研究書である。  前半はタイトル通り万葉の解説で、これを期待してこの本を取った私には読みごたえがあった。一方後半は終戦直後に書かれたようで、著者による戦時中の文学に対する怒りが湧き上がっており、万葉との明確な論説はないため期待とはズレていた。  万葉もそうだが近代文学も、それが書かれ読者に好まれた時代背景を思慮しなければ変な誤解を生んでしまう。文学も歴史と同様に後世によって評価が変遷するものであると切に感じた。そういう意味では「万葉の伝統」というタイトルは合っている。  1988年第1刷を読んだが、p.233~234、p.234~235のページの境に誤植があるようだ。

Posted byブクログ