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都市の感受性 の商品レビュー

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都市には様々な顔があ…

都市には様々な顔があります。本書を読んで都市を見る目が変わりました。

文庫OFF

2020/09/15

川本三郎 著「都市の感受性」、1988.8発行。川本三郎さんにしては、とてもわかりにくい内容の作品でした。途中で読むのを諦めました。

Posted byブクログ

2018/07/24

「都市の感受性」という概念をキー・ワードに、1970年代前後の小説、映画、演劇、マンガなどの作品を読み解いた本です。とりあげられている作品は、村上春樹、村上龍、島田雅彦、日野啓三の小説、森田芳光の映画、野田秀樹、山田太一、北村想の演劇、大友克洋、高野文子、ひさいちみちおのマンガな...

「都市の感受性」という概念をキー・ワードに、1970年代前後の小説、映画、演劇、マンガなどの作品を読み解いた本です。とりあげられている作品は、村上春樹、村上龍、島田雅彦、日野啓三の小説、森田芳光の映画、野田秀樹、山田太一、北村想の演劇、大友克洋、高野文子、ひさいちみちおのマンガなど、多様な領域にわたっています。 1968年を頂点とする学生運動の高まりは、70年代に入るとエネルギーをうしない、やがて日常のなかに埋没する「シラケ世代」が登場したという、ある意味ではわかりやすい説明を著者は批判し、むしろ60年代に「叛乱」や「反抗」というドラスティックなかたちをとっていた若い世代の意思表示が、70年代に入ると大衆レヴェルにまで浸透し、仰々しく騒ぐようなことではなくなってしまっただけだと主張します。そして、若い世代はおとなしく体制に順応しているのではなく、ただ60年代の学生たちが「叛乱」「反抗」というかたちで表現したことを「笑い」という形で表現するようになったにすぎないと著者は指摘します。彼らの「笑い」は窮屈な競争社会を生きるためのシニカルな自己欺瞞であり、その裏にはニヒリズムが貼りついていると論じられます。 大友克洋の『童夢』では、老人と子どもという生々しさのない存在によって引き起こされる破壊と殺戮が、静かに、まるで都市がみずから自己解体していくかのように進行していきます。また森田芳光の『家族ゲーム』では、家族3人がいつのまにかまどろみのなかに落ち込んでしまうようなしかたで、自己消滅へと進んでいきます。島田雅彦の『優しいサヨクのための嬉遊曲』は、誠実さや真摯さを離れた、演技的で遊戯的なコミュニケーションを、ロシア・フォルマリズムの理論と青春小説のパロディという手法で表現しています。そして村上春樹の初期の作品は、生活のにおいを感じさせない都市空間を、「現代人の不幸」などと嘆くのではなく、さらりと肯定してみせます。しかもそこには、都市生活者特有の軽いニヒリズムとユーモアによる自己相対化も欠いてはいないと著者は指摘しています。

Posted byブクログ