海軍短現士官よもやま物語 の商品レビュー
これは自分が中学生の頃に好きだった光人社の「よもやま物語」シリーズです。先日、ブックオフで何冊もシリーズで置いてあるのを見かけて懐かしくて思わず購入してしまいました。(^o^) 自分が購入していたのはシリーズ20くらいまでだったのですが、本作はシリーズ57ということで、こんなにも...
これは自分が中学生の頃に好きだった光人社の「よもやま物語」シリーズです。先日、ブックオフで何冊もシリーズで置いてあるのを見かけて懐かしくて思わず購入してしまいました。(^o^) 自分が購入していたのはシリーズ20くらいまでだったのですが、本作はシリーズ57ということで、こんなにも続いていたんですね。というかシリーズ既刊目録をみると90を越えているようでして、戦記エッセイ物(?)としては大ベストセラーシリーズといってもよいのではないかと思います。 シリーズ第一作目は『海軍よもやま物語』で、実はこれに先立つことちょっと前に新潮社から『海軍めしたき物語』(これも面白かった!)が出版されていて、光人社のこのシリーズはこの海軍エッセイ本の二番煎じだったのでは?という疑いをずっと持っているのですが(笑)、これだけの大シリーズとなるとそれぞれが貴重な記録でもあり、今日ではもはやお亡くなりになられた方も多いと思いますが、当時の軍隊生活を知る貴重な体験談シリーズであるといえます。 さて本作ですが、「海軍短現士官」とは旧日本海軍が戦時下の士官不足を補うために大学出身者の中から志願させ短期的に士官に採用するという制度で任じられた士官のことであり、いきなり海軍主計中尉に任じ2年後に退役させるというものだったそうです。短期現役士官とも二年現役士官とも呼ばれたそうですが、主計科限定士官なので、戦闘指揮者となるいわゆる「将校」ではありません。 著者は東大法学部卒業後、内務省に入省し、そのまま短現士官として海軍経理学校で学んだ後、重巡洋艦『筑摩』への配属を皮切りに、駆逐艦『秋風』、特設水上機母艦『神川丸』、呉海軍航空隊等に所属して、戦争激化に伴い2年どころか6年在籍し、海軍主計少佐にまでなったとのことでした。(終戦後は抑留を経て警察に勤務し警視監にまでなったとのことです) 主計科というと経理とか生活品調達、給食などが職分となりますが、兵科でないだけに士官にもかかわらず割とお気楽とも思える視点で記述されていて(笑)、こちらも肩の力を抜いて読むことができました。 全体的には、海軍士官らしくスマートなイメージに様々なエピソードが盛り込まれて、それなりに興味深い海軍生活だったように見受けられました。 海軍の艦船勤務の体験談というとご多分に洩れず撃沈エピソードがあるのですが、著者も特設水上機母艦『神川丸』時代に潜水艦の雷撃攻撃に遭い撃沈の憂き目にあっていて、重油まみれになった方がフカに襲われずにすむなど読者の今後に活かせるよう撃沈された際の心得を記してくれているエピソードなどが特に面白かったです。 昨今また流行っている軍艦や艦隊ネタよりも、生の海軍生活がいろいろとわかる本シリーズは、実体験という凄みが満載されていてとても興味深く面白いということを再認識させられました。 また次の作品を何か読んでみようかな。(^o^)
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