「クセ」の日本文化 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「クセ」からひもとく日本文化とは何かと思い手にしたのが今回の本。見つけた場所は、池袋西武の古本祭り。偶然、目に入ってペラペラめくってみて面白そうなので買った。お金や異性と同じで構えて追い求めているとストーカー扱いされてやってこない。 江戸時代や明治の初期頃までは裸に対して寛容であったとあってびっくりした。その証拠に著者が挙げている明治5年に東京府が出した風俗禁止令(5項目)の中に「裸で往来を歩くこと」があったと書かれている。ついでに言えば、混浴に関しても開国して西洋列強に追いつけ追い越せの時代になって、うるさくなった。 江戸時代には、しょうゆのことを「むらさき」と呼んでいたとあってびっくりした。紫色に近いという事と、紫街路の中でも一番高貴な色なのでしょうゆがそれだけ価値のあるものであることを示していたと書かれている。時代が変われば価値観が変わる例の1つだ。 日本人はのべつまくなしに食べる「雑食性」として食習慣について述べている。食習慣がそうなったのは、昔は、穀物、たとえばあわやひえのようなものを食べていたため、あまり腹が持たず、そば、うどん、イモなど様々なものを食べていたとある。今のように何でもある時代ではないだけに腹がすいたら回数を増やし手食べるなど工夫をしていた。その名残が今に受け継がれていて、パスタや中華めんが本国であれば、おまけの人しなであるところが単品で主食に躍り出るという事になる。パスタや中華めんの立場からしたらどうなのか聞いてみたい気もするが、主役になってうれしかったりして。 この本が書かれたのは1988年で、もう25年もたつ。この間に変わったこともあるのでもし書く意欲があれば著者に現代バージョンを書いてもらいたいなあ。
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