シャーロック・ホームズの推理学 の商品レビュー
推理学というより論理学の本である。 ドイルの生年1859年にダーウィン「種の起源」が出版されている。科学が百家争鳴する時期に生まれたドイルがSFに手を染めるのも当然か。 19世紀の科学は博物学など、分類が大まかであり、アマチュアでも概要を大づかみに理解できた。ヴェルヌの古典...
推理学というより論理学の本である。 ドイルの生年1859年にダーウィン「種の起源」が出版されている。科学が百家争鳴する時期に生まれたドイルがSFに手を染めるのも当然か。 19世紀の科学は博物学など、分類が大まかであり、アマチュアでも概要を大づかみに理解できた。ヴェルヌの古典SFなど、そうした幸福な時代の産物であろう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
○ホームズの推理の秘訣に、論理学から迫る一冊。ホームズは探偵として、ある意味でマシーンともいうべき厳密な行動原則を自分に課しています。著者は、その行動原則や方法論こそ当時の新しい科学的方法論と対応するものであり、ホームズ自身の言動から言っても、ホームズは論理学に精通していたと言える、つまり論理学者であった、と結論付けています。 ○その新しい科学的方法論というのは、それまで非論理的・非合理的とされてきた、「不確かさ」を含んだ検証・仮説形成の過程を科学の射程にいれるということでもあったのでしょう。それは、本書にあるホームズの言葉によれば、「当て推量」と一線を画す、「蓋然性を秤にかけて、最も確からしいものを選ぶ」ことです。そのためには、あるモノに目をつけ、必要な情報を選びぬき、分析し、それらを結びつけ、検証を行うというような、厳密的な手順がなければいけません。そうでなければ、それこそ「当て推量」になってしまいます。 ○一見すれば、思考に思考を積み重ねる「当て推量」なのに、ホームズの推理は何故当たるのか。そこには「そういう物語だから」という理由以上の方法論があります。真に確かなものなど証明しえない、どんなに検証された仮説も覆される恐れがある、人間の知識の限界を示すような科学的方法論の歴史を、ホームズの世界を通してちょっとだけ垣間見た気がしました。 ○(ただ、ぼく自身の感想としてはホームズは論理学者というより、厳密な推理のルールをもった科学者だったのだろうと思いました)
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DVDの『シャーロックホームズ シャドウゲーム』を見たので、なんか頭の中がホームズづいて読んでみた本。 それにしても映画は面白かったなあ。シャーロッキアンからはクレームがあるかもしれないけど、「普通のホームズファン」にはただただ楽しめる。 ロバート・ダウニー・ジュニアも相変わらず...
DVDの『シャーロックホームズ シャドウゲーム』を見たので、なんか頭の中がホームズづいて読んでみた本。 それにしても映画は面白かったなあ。シャーロッキアンからはクレームがあるかもしれないけど、「普通のホームズファン」にはただただ楽しめる。 ロバート・ダウニー・ジュニアも相変わらずいい演技。 で、本書はホームズの推理から論理学の初歩を講義するという内容。 入門書でありながら、ちょっとだけ「その奥」を覗けるという、「古き良き新書」の体をなしている。 しかし「種の起源」まで広がるとは・・・・・・ホームズ恐るべし。
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シャーロック・ホームズの推理学という題名ではあるが、この本はつまりホームズの真実解明への論理過程を作中の引用文を元に解きほぐして行こうという趣旨の本となっている。 本書は3部構成となっていているが、プロローグ(ホームズは「論理学者」か)を除くと実際にホームズの論理過程を解明してい...
シャーロック・ホームズの推理学という題名ではあるが、この本はつまりホームズの真実解明への論理過程を作中の引用文を元に解きほぐして行こうという趣旨の本となっている。 本書は3部構成となっていているが、プロローグ(ホームズは「論理学者」か)を除くと実際にホームズの論理過程を解明しているのは1部、2部である。 1部はジェボンスのいうところの「確率の逆算法」とホームズの推理のプロセスの類似性に言及しているが、そこにたどり着くまでのプロセスにおいてJ.S.ミル演繹的帰納法との類似点と相違点について述べられているのが本書のポイントであり、19世紀当時の論理学の変遷を理解する上で有益であった。 2部は一部を踏まえたうえで、ホームズのいう想像力をいかにして活用するかということに言及している。ここで興味深いのが、ホームズが仮説を選択する際にとっているヒューウェル的方法がジェボンスのいう確率的科学を認めてはいないことである。いわばホームズの推理は両者の長所をいかした科学的方法といえる。 3部はこれまでの論理学の変遷を理解したうえで当時論争の中心だったダーウィンを基に様々な論理学派の考え方の違いを書いている。1,2部を読めば大体の流れは予想できるが、3部はより理解を深める為のおまけのようなものになっている。 2部の後半にはかの有名な恐怖の谷の暗号を基に、ホームズの推理をわかりやすく解明しており、3部の最後では確率論的科学観の弱点についても言及しており、シャーロキアンのみならず古典的論理学を知る上でも有用な本である。
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[ 内容 ] [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った...
[ 内容 ] [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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