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神軍 緑軍 赤軍 の商品レビュー

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2009/10/07

 ロシア帝国でボリシェヴィキ革命が起きた時、帝国の支配下にあった国やその周辺の国、あるいは地域で様々な呼応が生まれた。イランでは、イラン共産党が出来、アゼルバイジャンの共産党勢力がこれを支援し、イラン政権と対立した。またトルコでは、ムスリム緑軍組織や共産党と連携する形で勢力を伸ば...

 ロシア帝国でボリシェヴィキ革命が起きた時、帝国の支配下にあった国やその周辺の国、あるいは地域で様々な呼応が生まれた。イランでは、イラン共産党が出来、アゼルバイジャンの共産党勢力がこれを支援し、イラン政権と対立した。またトルコでは、ムスリム緑軍組織や共産党と連携する形で勢力を伸ばした。タタールスタンでは、有名なスルタンガリエフのムスリム赤軍が強大な影響力を誇り、次第に中央と対立した。同じくタタルの首都、カザンではイスラム保守勢力のヴァイソフ神軍が、共産党と奇妙な協力関係を持とうとしていた。コーカサスでは、スーフィーの教団タリーカが共産党に激しく抵抗するものの、帝政ロシア軍(白軍)との戦いにおいては共産党と協力した。  イスラムという無神論の共産党には、似ても似つかない集団や組織が、革命直後には、それぞれに異なった思いや考え、そして戦略を持ちながらも、奇妙な強力と矛盾する均衡が成り立っていたと史料から論証する山内氏の著作。  読み物としては非常に面白い。また、革命前後のムスリムの共産党との連携は、帝政ロシアの単なるアンチテーゼでもなければ、共産主義とイスラムの心理の共有でもない。しかし、現実として短期間にムスリムたちは共産党に望みを託そうとしたというのは面白い。  問題点は、以下の通り。1)山内氏には色々と「いわく」があるが、本書の主語は常に「わたしたち」。お弟子さんが泣いたのでしょうか?、2)同じ史料やデータが本文中の近い位置でほぼ同じ文言のまま、書かれている場所が複数ある、編集の問題だと思うが、混乱する、3)結果としてまとめると革命とムスリムの関係はどう結論付けられるのか、舌足らず。冒頭でそれを書いているのだろうが、最後にまとめてもいい。

Posted byブクログ