二十世紀 ある小路にて の商品レビュー
「外部の者から見れば美しく、雄大なヒマラヤの山地は、実は生きるには非常に過酷な自然である」 「文明に対するアンチテーゼとして外界の現代人たちが精神の新しい可能性を求めて憧れを抱くヒンドゥー教の世界が、そこに生きる女性たちにとっては巨大な抑圧装置としてのみ機能しているという現実が、...
「外部の者から見れば美しく、雄大なヒマラヤの山地は、実は生きるには非常に過酷な自然である」 「文明に対するアンチテーゼとして外界の現代人たちが精神の新しい可能性を求めて憧れを抱くヒンドゥー教の世界が、そこに生きる女性たちにとっては巨大な抑圧装置としてのみ機能しているという現実が、ここにはある」 訳者解説より引用。 1988年に編まれたこの短編小説集の年代には、既に女性の社会進出は進み、カトマンズではジーンズ姿の女性も見られたという。 因習に満ちた社会が、資本主義経済の伝播に見舞われて在り様を変えていくさなかに、弱者たちの生活様式も移り変わり、あらたな軋轢がうまれる。 アジア現代史をネパールも例外なく漂っている。そのような中に、決して変わりようがなく揺さぶられる人の心、家族の絆、それらの純粋さが胸を打つ。
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