トーマス・マンを読む の商品レビュー
トーマス・マンの初期の作品『ブデンブローク家の人々』を鑑賞するための手引き本。原本759ページ、和訳で1061ページの大作に挑む前に読んでおこうと手にとった。以前にTVで実写版を見ていたので場面の想像がしやすかった。 自分の芸術家としての問題性をテーマにしていた初期のマン。 特...
トーマス・マンの初期の作品『ブデンブローク家の人々』を鑑賞するための手引き本。原本759ページ、和訳で1061ページの大作に挑む前に読んでおこうと手にとった。以前にTVで実写版を見ていたので場面の想像がしやすかった。 自分の芸術家としての問題性をテーマにしていた初期のマン。 特に世間の除け者、アウトサイダーのような人間を好んで小説の主人公に選んでいた。デカダンの文学。 ブデンブロークでは繁栄していた大商人一家の末裔がその芸術性を見せて若くして死んでいくまでを描いている。 難しい内容ではない(と思う)がなんせ長編なので読み過ごしてしまいそうな部分に解説や注意を払うよう指南してくれるこうした本は読んで正解と思う。 著者の語り口が非常に穏やかで控えめで自己意見の主張が限りなく少なく、読んでいて心地よい。しかし的確に助言してくれる。物知りなおじいちゃんがそばで大好きな本についてお話をしてくれているような雰囲気だ。
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