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孤島の鬼 の商品レビュー

4.4

32件のお客様レビュー

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2012/04/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 乱歩先生の「孤島の鬼」。何十回目かの再読なのですが、やっぱり面白い!どう考えても乱歩最高傑作。いやむしろ我が国の伝奇小説中でもトップではなかろうかと。  今更解説を加えるまでもないのですけど、文中のこの一文が全てを表現しているでしょうかね。  「地獄絵だ。やみと、死と、獣性の生き地獄だ。」  猟奇と妄想、前時代的偏見と変態性欲山盛り。耽美とあさましさと獣性の極地がそこに。だがしかし、その境地にこそ、何者も犯し得ぬ、人間本来の美しさがあるという…特にラストのラスト、最後の一文が切なすぎます。   「道雄は最後の息を引き取るまぎわまで、父の名も、母の名も呼ばず、ただあなた様のお手紙を抱きしめ、あなた様のお名前のみ呼び続け申候」  「孤島の鬼」は乱歩の長編第一作。むしろ、先生の作品の中ではあっさり目の内容なのですが、いわゆる本格派としての全体の構成・展開、そして得意の猟奇な雰囲気とのバランスが抜群です。  「幻影城」などを読むと分かるのですが、先生も本来はこちらの方向性を趣向されていたのです。惜しむらくは当時の編集側・読者側に、伝奇文学にそこまでの文学性を容れる用意が無く。徒なエログロ風味に特化した作品が求められてしまうという結果に。もちろん当方のような変態には、猟奇と悪夢なそちら方面の作品、例えば「芋虫」「陰獣」「盲獣」…も大好物では有るのですが。大戦で創作活動が中断されたのも残念でした。  ま、それはそれとして、とにかく「孤島の鬼」は最高の一冊です。優れて映像的なお話しでもありますので、できれば忠実に映画化して欲しいのですが…ニュアンスを活かした作品は有るのですが、内容的に今の時代に完全再現はアウトだよなー、なんて諦めていたのですが、先日見た「ダレン・シャン」でちょっと希望が持てました。孤島の鬼も、いわゆる「フリーク」がお話しのキモですしね。ってちょっとネタバレスイマセン。

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2011/08/13

終始ハラハラドキドキ。特に島に行ってからの諸戸さんが死亡フラグが漂い過ぎていて心配で心配でたまらなかった...。 諸戸さんの最期、ラストの文章に涙。 彼のことを考えると何リットルでも涙流せる...。

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2013/12/17

同性愛、不可解な密室殺人、暗号、孤島での宝探し、そして人工的に造り出されたフリークス、地下洞窟での大冒険、わくわく要素盛り沢山で面白かった。 やっぱり乱歩は現代出版物ではありえない用語が容赦なくバンバン出てくる(しかも結構偏見に満ちている)のがおどろおどろしい雰囲気に拍車をかけて...

同性愛、不可解な密室殺人、暗号、孤島での宝探し、そして人工的に造り出されたフリークス、地下洞窟での大冒険、わくわく要素盛り沢山で面白かった。 やっぱり乱歩は現代出版物ではありえない用語が容赦なくバンバン出てくる(しかも結構偏見に満ちている)のがおどろおどろしい雰囲気に拍車をかけていてすごくいいなぁと思います。 諸戸の箕浦へ向ける報われない愛情は見ていて苦しかった。互いに好意は持ちながらも決して交わることのなかった関係がとても切ない。 ミステリーであり、耽美小説としても楽しめる一冊です。

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2011/04/12

露骨だなぁ…の一言に尽きます。 何ていうか、蓑浦さんも諸戸さん好きですよね… 肩抱き合って歩いたり、手を取り合って散歩に出たり、 あんたらは敗者復活M1チャンプかいっ!! と思うような序盤から、 暴走加減がイケメンM1チャンプばりになっていく過程は 色々な意味で楽しかったです。 ...

露骨だなぁ…の一言に尽きます。 何ていうか、蓑浦さんも諸戸さん好きですよね… 肩抱き合って歩いたり、手を取り合って散歩に出たり、 あんたらは敗者復活M1チャンプかいっ!! と思うような序盤から、 暴走加減がイケメンM1チャンプばりになっていく過程は 色々な意味で楽しかったです。 内容が冷静に時代背景とかで考えれば 重い部分とかもあって、 最後部分にある「百万長者」という言い方にも、 当時の物価事情だとかが感じられて、 嗚呼、そぉだよなぁ…と思う部分もあります。 やきもきする部分も多々ありますが、 萌え所は多いです。

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2011/03/20

推理小説のような耽美小説のような冒険小説。 フリークス、同性愛、宝探し、座敷牢とワクワクモチーフがこれでもかと連なって出てくる。 伏線の見せ方がうまくて最初から最後まで興奮し通しでした。 今まで読んだ乱歩の作品の中ではこれが一番好きかも。

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2010/11/23

江戸川乱歩シリーズはいろんな所から出てますが春陽堂版が装丁や紙質など一番乱歩の雰囲気にあっていると思います。表紙が多賀新さんの版画で素敵。 乱歩の中でもこれがダントツに好きです。グロテスクで美しいのです。 そして意外にも、最後のページで突如として涙腺の危機がやってまいります。最後...

江戸川乱歩シリーズはいろんな所から出てますが春陽堂版が装丁や紙質など一番乱歩の雰囲気にあっていると思います。表紙が多賀新さんの版画で素敵。 乱歩の中でもこれがダントツに好きです。グロテスクで美しいのです。 そして意外にも、最後のページで突如として涙腺の危機がやってまいります。最後の最後にくる、あの一文です。 乱歩で泣くとは…自分でも驚きましたが、あの最後があるからこそこの作品がひと際輝くのかもしれませんね。

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2010/08/28

かたわ者やら見せ物小屋やら同性愛やら魅力的な要素がこれでもかと詰まっていて、しかも展開が大きく変化するので、わりと長めの話であるのに飽きさせない。すごくいい意味でエンタメ。

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2010/01/11

乱歩作品はどれも大好きなので甲乙つけれませんが、 春陽堂のこのカバー作家さんも好きで一石二鳥で 全巻そろえました。

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2009/10/14

乱歩の中で一番個人的に好きな「孤島の鬼」なのも評価が高いのもあるけど、 この春陽堂の表紙が好きすぎる。

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2009/10/04

10数年ぶりくらいの再読です。石井輝夫監督の「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を観にいくにあたり、読みました。 昔はそのストーリーにくいついたものでしたが、今は内容はさておき文体から流れ出るじめっとした雰囲気やのったりとしたテンポ、突拍子のない展開に興味を持ちました。 それにしても...

10数年ぶりくらいの再読です。石井輝夫監督の「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を観にいくにあたり、読みました。 昔はそのストーリーにくいついたものでしたが、今は内容はさておき文体から流れ出るじめっとした雰囲気やのったりとしたテンポ、突拍子のない展開に興味を持ちました。 それにしても春陽堂の文庫の文字の小ささにびっくり。最近は読みやすく大きくなっているのだろうけど、それにしてもこんな小さかったっけ?目が疲れたよ。

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