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ブルー・ハンマー の商品レビュー

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2020/02/28

ロス・マクドナルドの遺作とされる本作はごく一般に駄作だと云われるが、私にしてみれば物語の焦点が常にぶれず、物語の軸が常に明確であったせいか点数的には高いものとなった。 また盗まれた絵画を追うという従来の失踪人捜しとは経路の違う展開が新鮮だったことも物語に魅力を感じた一助になってい...

ロス・マクドナルドの遺作とされる本作はごく一般に駄作だと云われるが、私にしてみれば物語の焦点が常にぶれず、物語の軸が常に明確であったせいか点数的には高いものとなった。 また盗まれた絵画を追うという従来の失踪人捜しとは経路の違う展開が新鮮だったことも物語に魅力を感じた一助になっている。 ともあれ、確かに登場人物構成が二転三転、はたまた四転五転し、プロットが結局破綻していないのか判断が付きかねるが、やはり最後にアーチャーが犯人に呼びかける言葉は物語の終焉にダメを押す。 さらにアーチャーが生まれ故郷に行き、今までストーリーに描かれたことのない結婚生活について触れるのもシリーズ最後の原点回帰の様相を呈しており、著者がまさにアーチャーシリーズに決着を付けようとしていたようにも思える。何しろアーチャーが恋患いをするのだから面白い。これは感情を押し殺した傍観者からの脱却を意味し、感情を持った主人公はもはや探偵たる資格を持たないというメタファーでアーチャー御役御免の意味合いを強く感じた。

Posted byブクログ