極楽船の人びと の商品レビュー
不思議な味わいがある話だった。死ぬために乗った(乗せられた)船客の群像劇。死という非日常がひたひたと近づき、やがて日常化する様が恐ろしく感じた。
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章ごとに語り手がかわり、極楽船に乗る人それぞれの内面が描かれていた。極楽船は、言うなれば姥捨山である。社会に弾かれてしまった者、社会と区切りをつけたい者の「非日常」への旅。覚悟を決めた人間はさっぱりしているようでどこかグロテスクだ。なんでも出来てしまう。自分、という塔が崩れ行く様...
章ごとに語り手がかわり、極楽船に乗る人それぞれの内面が描かれていた。極楽船は、言うなれば姥捨山である。社会に弾かれてしまった者、社会と区切りをつけたい者の「非日常」への旅。覚悟を決めた人間はさっぱりしているようでどこかグロテスクだ。なんでも出来てしまう。自分、という塔が崩れ行く様が面白く、時に哀切である。個人的に、読みながら脳内で描かれる画がひどく不細工揃いで、登場人物たちに申し訳なく思った。
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