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学問の創造 の商品レビュー

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2017/01/21
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1987年(底本1984年)刊。著者は京都工芸繊維大学学長(元京都大学工学部教授、日本初のノーベル化学賞受賞者)。研究者として一歩を踏み出す歩み、学問・研究の軌跡、その中でのライバル・先輩などとの邂逅、そして、研究者として必要な創造性の源泉について語っていく。物事をありのままに見つめる(アナログ的)な所与性の認識、独創性の源泉たる先を見通す力・先見性、先見性を生み出す聴取力、文理や物化等の学問の枠にとらわれない広範な関心とアンテナなど、実に説得的。この点、著者は勿論、著者を見出した田中芳雄教授も凄い。 また、著者の凄さは、著者の創発したフロンティア軌道理論のみならず、他者の理論をも、的確かつ明快なイメージで捉え、かつ、それを表現できるところにある。化学変化を「繋げている棒の付け替え」と、化学反応を「分子間での電子の取り合い」「その結果滲み出した電子が化学反応を左右」と、化学反応の道筋を「峠」とし、その峠は純客観的にはジクザクな多様な道筋をたどるが、その根本には一直線な道が存在する(一直線な道の発見で、計算や予測が容易になる)。 少し古い本だが、普遍性があり、かつ、将来への提言(つまり現代的課題)、例えば、基礎的研究に対する国家からの財政支援の拡充や、学生・若年研究者に対する励ましは、今も全く色褪せない。

Posted byブクログ