サラダ記念日 の商品レビュー
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 手紙には愛あふれたりその愛は消印の日のそのときの愛 書き終えて切手を貼ればたちまちに返事を待って時流れ出す 聞かされる低血圧の弊害を星占いの次に信じる 本当はおまえがみんな見てるのね小さき丸き粒にささやく ...
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 手紙には愛あふれたりその愛は消印の日のそのときの愛 書き終えて切手を貼ればたちまちに返事を待って時流れ出す 聞かされる低血圧の弊害を星占いの次に信じる 本当はおまえがみんな見てるのね小さき丸き粒にささやく ⋮ ありふれた日常の一場面を切り取った歌が、どうしてこんなに輝いて見えるのだろう。不思議でたまらない。 そのとおりだな、と思うことがたくさん。 現代歌人を代表する俵万智の歌集に触れられて良かった。お気に入りがたくさん見つかりました。 本、貸してくれてありがとうね。
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第76回ビブリオバトルinいこま「映え」で紹介された本です。チャンプ本。 コロナ禍のため現地とYouTube live配信のハイブリッドで実施。 https://www.youtube.com/watch?v=MdurwM6VB9Q 2020.7.26
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短歌には全く接してこなかった…。 テレビで俵万智さんを見かけ、図書館に借りに行きました。 そこで衝撃の事実、発覚! 裏表紙内側に図書カードが差しこまれ、最後のページには「本を返す日」の票が貼ってあったのです。 司書さん、わざと外さなかった? ページを開いて、圧倒されました。 ま...
短歌には全く接してこなかった…。 テレビで俵万智さんを見かけ、図書館に借りに行きました。 そこで衝撃の事実、発覚! 裏表紙内側に図書カードが差しこまれ、最後のページには「本を返す日」の票が貼ってあったのです。 司書さん、わざと外さなかった? ページを開いて、圧倒されました。 まだ24歳だった万智さんの瑞々し過ぎる感性。 「手紙には愛あふれたりその愛は消印の日のそのときの愛」 手紙ならでは情緒。 消印のその時の愛って、その後は? 「愛告げてしまいたいけれどもう少し安全地帯を離れておかん」 告白の前と後の距離感。 安全地帯のもどかしくも素敵な時間。 「やさしさをうまく表現できぬこと許されており父の世代は」 今の若いお父さんはみんな優しい。 でも、私の父はこの通りだったと 納得。 「今我を待たせてしまっている君の胸の痛みを思って待とう」 思いやりに溢れる作品。 これからは私もこんな気持ちで待てる…かな? 沁みる歌は他にもたくさん。 あとがきに書いてあったこと。 「短歌は千三百年受けつがれてきた五七五七七という魔法の杖」 魔法の杖ね。 キラキラした気持ちが伝わってきます。 「切り捨ててゆく緊張感。あるいは切り取ってくる充実感。それが短歌の魅力」 短い言葉の奥に広がる世界は、感じる人それぞれで色鮮やか。 ときどき一緒に旅をする友人は、出かけた先で一句詠んだりします。 ただ私には高尚に感じる表現もあり、短歌に距離を置いてきました。 でも、口語短歌なら距離を縮められるかも。 今さらですが、万智さんの短歌に新しい世界が開かれた気がしました。 カラカラと 涼しげな音 透明グラス 今日始まりの音 今日も頑張りましょ。
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表題の歌のイメージで勝手に日常を描くサクフウだと勘違いしていた。恋する乙女感がすごい。発表時25歳と思えば納得がいくかも。パンチがある歌が多い。これが1作目というのは正直信じられない。 たくさん好きな歌ができたが特に好きなのは次の2つ。 時速80 君の背中で風になるつながって...
表題の歌のイメージで勝手に日常を描くサクフウだと勘違いしていた。恋する乙女感がすごい。発表時25歳と思えば納得がいくかも。パンチがある歌が多い。これが1作目というのは正直信じられない。 たくさん好きな歌ができたが特に好きなのは次の2つ。 時速80 君の背中で風になるつながっている腕だけが今 思い切り愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花
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短歌好きで、いろいろ集めて、読んできたけど、 なんか、ようやく、本当のところの良さがこの本でわかった気がする、すごいなあ、名作で良作です。 文字を目で追って、頭の中で短歌の音と一緒に読んでみて、無駄を限りなく削ぎ落として伝えてくるものに、胸がぎゅーとなって、素敵だなあってしみじ...
短歌好きで、いろいろ集めて、読んできたけど、 なんか、ようやく、本当のところの良さがこの本でわかった気がする、すごいなあ、名作で良作です。 文字を目で追って、頭の中で短歌の音と一緒に読んでみて、無駄を限りなく削ぎ落として伝えてくるものに、胸がぎゅーとなって、素敵だなあってしみじみなる。 思い出はミックスベジタブルのよう けれど解凍してはいけない
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著者、俵万智さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 俵 万智(たわら まち、1962年〈昭和37年〉12月31日 - )は、日本の歌人、エッセイスト。本名同じ。結社「心の花」所属。所属事務所は東京コンサーツ。父は希土類磁石...
著者、俵万智さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 俵 万智(たわら まち、1962年〈昭和37年〉12月31日 - )は、日本の歌人、エッセイスト。本名同じ。結社「心の花」所属。所属事務所は東京コンサーツ。父は希土類磁石の研究者の俵好夫。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 万葉集もなんのその、与謝野晶子以来の大型新人類歌人誕生。 ---引用終了 本作は、1987年5月8日 初版発行です。 そして、手元の本作は、1987年8月1日 六十版発行です。 当時、売れに売れた歌集であったことが想像されます。 私も書店で手にとった記憶があります。 本作の最初の短歌は、 --- この曲と決めて海岸沿いの道とばす君なり「ホテルカリフォルニア」 --- そして、本作のタイトルのもとになったと思われる短歌は、p125にあります。 --- 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 ---
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1962年大阪生まれの俵万智さん、早大文学部3年のとき、歌人佐佐木幸綱氏の講義を聴いたのが歌との出会い。20歳から24歳までの430余首を収録した「サラダ記念日」(1987.5)は、原作、脚色、主演、演出全て俵万智の一人芝居(歌集)だそうです。①いつも一分早く駅に着く一分君のこと考える ②会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く ③一日の疲れを吐き出しまた乗せて夕闇めぐる山手線は ⑤年賀状の名前を見つつ人間の分類をする今年が終る
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表題作や有名な作品はもちろん知っていたが、歌集として読んだのは初めて。 ままごとのような可愛らしい恋もあれば、達観したような視点にドキリとさせられる恋もある。 恋愛の歌だけでなく、不器用ながらも愛情あふれる父と娘の歌、教師の目線から詠んだ歌なども、おもしろい。 おそらく詠み手の...
表題作や有名な作品はもちろん知っていたが、歌集として読んだのは初めて。 ままごとのような可愛らしい恋もあれば、達観したような視点にドキリとさせられる恋もある。 恋愛の歌だけでなく、不器用ながらも愛情あふれる父と娘の歌、教師の目線から詠んだ歌なども、おもしろい。 おそらく詠み手のリアルな実体験に、ほんの少しのフィクションを効かせたのであろう匙加減が、言葉のみずみずしさを引き立てていて、こういうところが当時の若者にウケたのかなあ、などと想像しながら読んだ。 まるで、カメラのシャッターを切るように、一瞬を31音に閉じこめて、そのまま真空パックにしたような。 それくらい、時を超えても鮮度の高い作品だと感じた。
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30年ぶりに読み返したけど、やっぱりいいね。携帯電話がなかったあの日に帰りたい。あの時代に生きた人にしかわからないかな。 こういう本が何百年後かに万葉集みたいに、あの時代の人の生きざまを伝える古典になっていくのかな。
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二十歳の終わりから,二十四歳までの歌をおさめた,俵万智さんの第一歌集。 有名なサラダ記念日の歌や, 〈君のため空白なりし手帳にも予定を入れぬ鉛筆書きで〉 といった,初々しくて甘酸っぱい,若い女性の共感を集めそうな歌が多く見受けられた。 「表現手段として,私は歌を選んでいる...
二十歳の終わりから,二十四歳までの歌をおさめた,俵万智さんの第一歌集。 有名なサラダ記念日の歌や, 〈君のため空白なりし手帳にも予定を入れぬ鉛筆書きで〉 といった,初々しくて甘酸っぱい,若い女性の共感を集めそうな歌が多く見受けられた。 「表現手段として,私は歌を選んでいる。惚れてしまったのだ,三十一文字に」 十分な余白をあけて並べられた歌からは,俵さんの歌に対する愛が伝わってくる。 〈今我を待たせてしまっている君の胸の痛みを思って待とう〉 もし現実世界にこんな可憐な女性が存在していたら,たぶん,惚れてしまうだろうな。
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