真田太平記(六) の商品レビュー
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多くの戦国時代小説において、関ヶ原合戦を描く場合は、その前座である家康の関東下向、三成挙兵、伏見落城から関ヶ原前夜までを長く描くものは少なかろう。 しかし、本作は違う。大阪の陣、それ以降にも筆が及ぶ本作は、ここが中盤最大のヤマ。また真田父子・兄弟の来し方行く末を描く上では、ここまで書かずばなるまい。そういう箇所である。 それは、昌幸・幸村と信幸。生き方、社会の捉え方、政治への取り組み方など、徐々に違えていった道が決定的に分岐するのがここなのだから。 ただ、作者はその場面を長々と描くわけではない。 「別れの盃にならねばよいが…」とする昌幸に、幸村はずばり「父上の望むようにはなりますまい」と断言。 稲妻が光りと雷鳴が轟く中、3人は無言で酒を酌み交わす。 そして、信幸は父に問いかける。 「豊臣家のおん為と申すより、どちらが天下の為になりましょうや?」「父上はこれから先…天下取りの争乱が相つづくことを望んでおられますか?」と。 言葉少なに、しかし、そのわずかな言葉の裏に隠された真意すら正しく読み解ける父子、そして兄弟。ここで根本に据えられているのは互いの生き様、理念の相克だ。 これを描ききった最上の別離シーンをここに見ることができる。
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上杉征伐へ家康が東下する。 家康が天下取りに向けて、諸大名を取り込んでいく様と対照的に三成は諸大名に呆れられていく。 30年前の三成に対する評価は厳しかったんですね。とはいえ個人的には今も低いけど。 「犬伏の別れ」が淡々と描かれている。ちょっと驚いた。
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関ケ原の戦いのひきがねになる東軍ー家康と西軍ー石田三成とが徐々に分かれてくる。戦国時代の混乱ぶりがよく伝わってくる。そんな中で真田氏はどちらに味方してよいかわからない不安定な状況である。昌幸と幸村は東西に分かれるのだろうか?前田年長、大谷吉継、上杉景勝、福島正則、京極高次、石田三...
関ケ原の戦いのひきがねになる東軍ー家康と西軍ー石田三成とが徐々に分かれてくる。戦国時代の混乱ぶりがよく伝わってくる。そんな中で真田氏はどちらに味方してよいかわからない不安定な状況である。昌幸と幸村は東西に分かれるのだろうか?前田年長、大谷吉継、上杉景勝、福島正則、京極高次、石田三成、黒田長政、宇喜多秀家、島津義弘、それぞれの思惑が興味深い。おのれの情熱のままに生きている者もいれば、戦陣は理屈ではないことをわからない者もいる。実に人間くさい巻だと思う。
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家康が上杉景勝を攻める為に東征に出る。それは、石田三成を決起させるためのフェイントだった。じわじわと豊臣恩顧の大名を味方にする老獪さ。寵臣を伏見城落城とともに見棄てる非情さ。後の天下人ゆえ神社に祀られもしているが、秀吉に比べ人気の無い所以である。2015.1.10
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関ヶ原へ向かうストーリーは、結果がわかっていても手に汗握る。誰もが先の見えないなかで、考えて考え抜いて、「このようにしかできなかった」というのがひしひしと伝わるので切ない。本筋以外のところでは、前巻に引き続き鈴木右近がカッコいいのと、ついにというかようやくというか、佐平次と又五郎...
関ヶ原へ向かうストーリーは、結果がわかっていても手に汗握る。誰もが先の見えないなかで、考えて考え抜いて、「このようにしかできなかった」というのがひしひしと伝わるので切ない。本筋以外のところでは、前巻に引き続き鈴木右近がカッコいいのと、ついにというかようやくというか、佐平次と又五郎の関係が明らかに。忘れた頃に現れてちょっと引っ掻き回す角兵衛のわがままというか手に余る感がリアル。
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秀吉歿後家康は巧みに豊臣家を分断していく。石田三成と組んだ上杉景勝を討つため家康が会津に兵を進めると、三成が兵を挙げる。ここに東西決戦が・・・。 そして遂に真田家は昌幸、幸村と長男信幸が敵味方に分かれて戦うことに。
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関ヶ原の合戦を前にしてついに真田ファミリーは東軍と西軍に分かれてしまいました。 上杉景勝さんと仲良しだった昌幸&幸村親子は徳川組から離脱、奥さんが徳川系の長男信幸さんはそのまま徳川に残る…と。 しかし、石田三成くんの人望のなさはすごいな~。 相手の気持ちを慮れないとダメってことだ...
関ヶ原の合戦を前にしてついに真田ファミリーは東軍と西軍に分かれてしまいました。 上杉景勝さんと仲良しだった昌幸&幸村親子は徳川組から離脱、奥さんが徳川系の長男信幸さんはそのまま徳川に残る…と。 しかし、石田三成くんの人望のなさはすごいな~。 相手の気持ちを慮れないとダメってことだよね~。 実際はどうだったか知らないけどね~(笑)
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秀吉没後に,家康がヘビのようにじわじわと覇権を握ろうとする過程.しかし,秀吉と違って,家康の場合には全国の大名を力で屈服させた訳ではない.したがって,このようなプロセスを踏まざるを経なかったのだろう.この巻では真田と草のものはあまり活躍する場面はない.抗しがたい世の流れを描く巻で,真田は本家と分家で西軍と東軍に別れてしまった.角兵衛や右近,佐助やお江はこの後どうなっていくのか,乞うご期待,といった感じ.
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秀吉逝去から関ヶ原前夜までの巻。 様々な人が、自らコントロールしきれないまま、運命に押し流されてゆく。 しかし。 徳川家康の強さは圧巻。 後追いで書くからそうなるのかもしれないが、憎々しい感じを受けてしまう。 ただ、この巻の時期に至るまでの苦労を考えると「重き荷を背負いて、...
秀吉逝去から関ヶ原前夜までの巻。 様々な人が、自らコントロールしきれないまま、運命に押し流されてゆく。 しかし。 徳川家康の強さは圧巻。 後追いで書くからそうなるのかもしれないが、憎々しい感じを受けてしまう。 ただ、この巻の時期に至るまでの苦労を考えると「重き荷を背負いて、坂道を上るがごとし」という言葉もそのとおりなのだろう。 とにかく、誰しも思う通りにはならない。ということは感じられる。 そういった意味で、ライフネットの出口会長がお勧め図書なんだろう。
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秀吉・利家が亡くなったあとの 人間模様がものすごーく浮き彫りになった内容。 ものすごい策士の徳川家康。 石田三成が兵を挙げたけれども、なかなか成果が出ない… 石田三成の西軍には昌幸・幸村。 そして徳川家康の東軍には信幸。 あぁー関ヶ原までもうちょい!! ドッキドキ。 信幸正室の小松殿、かっこいいですw
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