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裏切りのキロス の商品レビュー

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出迎えたのは島民たち…

出迎えたのは島民たちの激しい憎悪。意外にもロマックスは、彼らの肉親をナチスに売り渡した裏切者と思われていたのだ。明媚な景観の陰に交錯する謎と殺意と愛。名手ヒギンズの筆が冴える冒険アクションの雄篇。

文庫OFF

2021/06/12

対ナチスの戦いで裏切り者の汚名を着た男、元英軍大尉ロマックス。彼は隠蔽された事実を掘り起こすため、時を経てエーゲ海のキロス島を再訪する。17年前、島にあるドイツ軍事拠点の破壊工作でロマックスに協力した島民らは何者かに密告され、強制収容所で地獄を味わっていた。ドイツ軍に捕らわれたロ...

対ナチスの戦いで裏切り者の汚名を着た男、元英軍大尉ロマックス。彼は隠蔽された事実を掘り起こすため、時を経てエーゲ海のキロス島を再訪する。17年前、島にあるドイツ軍事拠点の破壊工作でロマックスに協力した島民らは何者かに密告され、強制収容所で地獄を味わっていた。ドイツ軍に捕らわれたロマックスが消えた後のことで、誤解を与えたのも無理からぬことだった。積年の恨みを晴らすべく待ち構えていた彼らの暴力と対峙しつつ、ロマックスは密告者が誰かを探り始める。 1963年発表作。美しい孤島を舞台に、過去と現在が交差するサスペンス主体の作品。過去を振り返る中盤ではマクリーン「ナヴァロンの要塞」(1957)に倣った戦争冒険小説のエッセンスもある。ただ、まだ模索期で、ハードボイルドと冒険小説の間を行き来し、巧く溶け合っていない。主人公を裏切り者に仕立てた島の人間を追求するというメインプロットは捻りがなく、勘のいい読み手でなくても真相を推測できるレベルだ。そもそもヒギンズは謎解きに力を入れるつもりは毛頭無く、ヒーロー小説をどう成立/発展させるか、作品を書き飛ばしながら、自分の資質/方向性を見極めようとしていた節がある。成熟した後の小説を考えれば、完成度が低く、小慣れていない面が目立つが、原石は確かにここにある。淡いロマンスを絡めた彩りも良い。 余談だが、本作にはジョン・ミカリという名の神父が端役で登場するのだが、設定は全く違うものの、隠れた名作「暗殺のソロ」(1980)の主人公と同じ名前だ。他にもドイツ人のシュタイナなど、後の作品で堂々と主人公を務める名を用いている。ヒギンズは似たような設定や情景が多いという指摘があるが、人物名についても一度気に入ったものは気にせず使ったようだ。それらは作品の質とは無関係であり、ヒギンズの世界観にぴたりと嵌まればファンとしては何の文句もない。

Posted byブクログ

2019/09/11

元イギリス軍大尉が過去の自分を清算するため、第二次大戦後のエ-ゲ海はキロス島再訪から始まる【ジャック・ヒギンズ】の冒険小説。傷心のヒ-ロ-、ヒロインを取り巻く悪漢・好漢らとの絡み合い、過去へフィ-ドバックして語られる事件の真相を追うスト-リ-は、著者お得意のパタ-ンであるが、ラス...

元イギリス軍大尉が過去の自分を清算するため、第二次大戦後のエ-ゲ海はキロス島再訪から始まる【ジャック・ヒギンズ】の冒険小説。傷心のヒ-ロ-、ヒロインを取り巻く悪漢・好漢らとの絡み合い、過去へフィ-ドバックして語られる事件の真相を追うスト-リ-は、著者お得意のパタ-ンであるが、ラストまで一気加速で読ませてくれる。本作は1963年に【ハリ-・パタ-スン】名義で発表された、後年のヒギンズ節の香り漂う作品である。

Posted byブクログ

2009/10/04

ハリー・パタースン名義で発表。こちらは第二次大戦に従軍して傷ついた主人公が戦後、再びかつての任地だった地中海のキロス島に向かい、自分を裏切って敵に売った犯人を探し出す物語。

Posted byブクログ