海は甦える(第4部) の商品レビュー

江藤淳【著】

大正という新時代、政…

[文庫ＯＦＦ]

大正という新時代、政党の勢力は無視できぬ存在となった。大正政変のあと山本権兵衛は剛腕原敬の政友会をパートナーとして宰相の印綬を帯びる。権兵衛内閣は諸改革に着手し実績を挙げていく。長期政権さえ夢でないと思われた矢先、突如噴出したのが戦前最大の疑獄シーメンス事件であった。海軍の疑惑に権兵衛は議会で、厳しい追求に遭う。日々海軍なかんずく権兵衛への憤怒は全国で高まり、ついに群集は国会を取り巻いて一触即発の状態となってゆく。――全編、事件に揺れ続ける議会の描写は臨場感があり、怒気ともいえる迫力が伝わり圧巻。