朝倉義景 の商品レビュー
戦国時代の百年間、北陸越前に君臨した朝倉氏が、信長の 天下統一の中で滅亡していく様を明らかにする。従来知ら れなかった一戦国大名の生涯を、総体的に把握した義景の 本格的な伝記。 第一刷は昭和56年の刊。 うーん。マイナーな本である。世間的には朝倉義景はイマ イチ評価...
戦国時代の百年間、北陸越前に君臨した朝倉氏が、信長の 天下統一の中で滅亡していく様を明らかにする。従来知ら れなかった一戦国大名の生涯を、総体的に把握した義景の 本格的な伝記。 第一刷は昭和56年の刊。 うーん。マイナーな本である。世間的には朝倉義景はイマ イチ評価が高くない。浅井長政であれば、がんばったで賞 を受賞できるが、朝倉義景の場合は、やられてしまったで 賞か。個人的にもあまり興味は無かった。 本書も新刊では1995円もするので食指が伸びない。人 物叢書の豊富なラインナップを考えると、他に欲しい本は 沢山あるのだ。今回、手に取ったのはたまたまブック○フ で安く買うことが出来たからである。数か月の積読期間を 置いて読んだのであるが、なかなか面白い。 本書の四分の一を朝倉氏の祖先、孝景の台頭、義景に至る 三代の治績の解説にあてている。タイトルにある義景の伝 記部分については全体の約半分。残りは領国支配や一乗谷 の発掘などにあてている。 応仁の乱では孝景が西軍の実質的な戦闘力を担っていたが、 越前の実質的な支配をもくろみ下国し、守護代甲斐氏と争 う。その後、三代かけて越前支配を確固たるものにする。 ここら辺の下剋上の様は足利将軍家なども絡みなかなか面 白い。四代孝景(義景の父)の時代、近隣諸国に兵を派遣 したが他国の兵が越前に乱入することはなく、越前は平和 な時代を過ごす。孝景の対外出兵は、朝倉氏の領土の拡大 につながるものではなく、将軍の命に応じて、近隣諸国の 混乱を鎮める目的でなされたものであったという。 このような経過を踏まえ、朝倉氏は(浅井氏も)現状維持 で満足しており、信長の配下となることをよしとしなかっ たという見方はなるほどと思わせた。 信長と敵対することとなった義景であるが、要所要所、決 心を欠いたことにより滅亡への道をたどる。信玄に激怒さ れた話は有名であるが、本願寺顕如からも信用されていな い話は面白い。 朝倉氏は越前の荘園を横領し力を蓄えるが、全面的に横領 した訳ではなかったという。禁裏御料所河合荘では、たま たま同じ名前の荘があったため、朝倉氏は小さい河合荘を 御料所であると言い張ったというのも面白い。 本書は、読みやすく応仁の乱以降の下剋上や荘園の横領な ど知る事ができるのでおススメである。
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