俳句入門三十三講 の商品レビュー
著者が、父である飯田蛇笏から継承しておこなってきた、俳句雑誌『雲母』の例会での実作指導をまとめた本です。 タイトルには「俳句入門」とありますが、例会での批評なので、俳句についてなにも知らない読者にとっては、やや敷居が高いのではないかと思います。その一方で、参加者たちの多くの句が...
著者が、父である飯田蛇笏から継承しておこなってきた、俳句雑誌『雲母』の例会での実作指導をまとめた本です。 タイトルには「俳句入門」とありますが、例会での批評なので、俳句についてなにも知らない読者にとっては、やや敷居が高いのではないかと思います。その一方で、参加者たちの多くの句がとりあげられていて、佳作のみならず改善の余地のある句についても著者の批評がなされているので、みずからも句作に取り組んでいるという読者にとっては参考になるのかもしれません。 それにしても、俳論ないし俳話は、文芸批評、とりわけ小林秀雄に代表されるような印象批評の言説とややかさなるところがありながらも、他の批評のジャンルとは異なる独特の言説空間をかたちづくっているように感じます。わたくし自身は、そうした観点から本書の議論を興味深く読みましたが、もとよりそうした読みかたをする読者は多くなく、著者の俳句指導にじっさいにのぞんでいるような気持ちで読むことができる本だと思います。
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