1,800円以上の注文で送料無料

月に泣く の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/10/21

リアリズムに幻想が混じる文章表現の技を味わう、寂しさを美醜で彩色した二編。「月に泣く」は行間に泡となって消えた言葉があるようだ。 昭和の現実味ある廃れた町と、神話っぽい雰囲気の衰退していく村で、孤絶を受け入れるしかない中年男の語り。彼らは社会的に見れば敗れた者だ。惨めな境遇の男...

リアリズムに幻想が混じる文章表現の技を味わう、寂しさを美醜で彩色した二編。「月に泣く」は行間に泡となって消えた言葉があるようだ。 昭和の現実味ある廃れた町と、神話っぽい雰囲気の衰退していく村で、孤絶を受け入れるしかない中年男の語り。彼らは社会的に見れば敗れた者だ。惨めな境遇の男が惨めな境遇の性的な女に、聖性を見ているのは物悲しい。主人公と、関わる者たちが悲しい。作者は人や、その営みと同じくらい土地に対する意識があると思う。土地や自然と発展の関係を、失うこと還ることで表しているんじゃないだろうか。

Posted byブクログ