七人の証人 の商品レビュー
『孤島もの』にして『法廷ミステリ』 西村京太郎恐るべし。 一年前の殺人事件の犯行現場とその周辺が、交叉点や建物の室内まで完全再現された絶海の孤島。そこに誘拐拉致された、当時の裁判の七人の証人たち(と審判役の十津川警部)。そして猟銃を手に、『私設法廷』にて証言の再検証を迫る誘拐犯...
『孤島もの』にして『法廷ミステリ』 西村京太郎恐るべし。 一年前の殺人事件の犯行現場とその周辺が、交叉点や建物の室内まで完全再現された絶海の孤島。そこに誘拐拉致された、当時の裁判の七人の証人たち(と審判役の十津川警部)。そして猟銃を手に、『私設法廷』にて証言の再検証を迫る誘拐犯。彼らの運命はいかに。 荒唐無稽な設定ですが、なぜか説得力を持って読まされてしまう西村京太郎の筆力。ほんの小さな矛盾から少しずつ状況が覆っていく面白さは法廷ものの醍醐味。そして閉鎖空間での緊迫した状況で起こる現在進行形の事件。『殺しの双曲線』に続いてページを繰る手が止まりません。 『孤島』部分があっさり気味な感はありますが、それを言うのは贅沢かもしれません。充分楽しませてもらいました。 自分の中で予想外の『西村京太郎ブーム』到来です。
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十津川警部シリーズは知らなかったが、知らなくても十分楽しめる。 法廷の証言とその矛盾点を、地味~に書いているだけなのだが、 話のテンポがよくて、どんどん引きこまれていった。 13人の怒れる男チックなかんじ。 犯人がわかるまではワクテカものだったが、最後がちと強引な気がする。
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「13人の怒れる男」を思い出した。 私設の裁判であること, 孤島であることが違う。 裁判員ではなく,証人であるところも違う。 なにげない証言の食い違いが, 最後に大どんでん返しにたとりつくところは同じだ。 本格推理小説だといえる。
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法廷物をクローズドサークルに持ち込むという異様な設定がなんとも楽しいです。 突然襲われた十津川警部。目覚めると見知らぬ人々。孤島に不自然に作られた町の一角。 ファンタジーやSFのような冒頭にわくわくします。 強制的に過去の事件を検証しなおすことになる十津川警部ですが、七人の一致...
法廷物をクローズドサークルに持ち込むという異様な設定がなんとも楽しいです。 突然襲われた十津川警部。目覚めると見知らぬ人々。孤島に不自然に作られた町の一角。 ファンタジーやSFのような冒頭にわくわくします。 強制的に過去の事件を検証しなおすことになる十津川警部ですが、七人の一致した証言、そして決定的な写真と、完璧な有罪判決をどうひっくりかえすのか。尋問だけで真相に迫っていく展開は楽しい、の一言でした。 凝ったロジックやトリックがあるわけではないのですが、とにかくこのおもしろい設定勝ちだと思います。
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1999.8.13 4刷 533 十津川警部は帰宅途中を襲われ、不覚にも誘拐された。彼が気づいたときには、彼は奇怪な無人島にいた。しかもそこには、ある町の一部分がそっくり再現されていたのだ。次々建物から現われる人間は、皆或る事件の目撃者、そしてやがて展開される狂気のシーン。会心サ...
1999.8.13 4刷 533 十津川警部は帰宅途中を襲われ、不覚にも誘拐された。彼が気づいたときには、彼は奇怪な無人島にいた。しかもそこには、ある町の一部分がそっくり再現されていたのだ。次々建物から現われる人間は、皆或る事件の目撃者、そしてやがて展開される狂気のシーン。会心サスペンス長編。
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この時期の西村京太郎は面白い。まず設定が良い。孤島に誘拐されてきたある事件の証人たちと、十津川警部。そしてそこで行われる私設法廷ともいえる状況での事件の再確認。そこで、証言が次々に覆されていく過程もサスペンスフルだけど、それに加えて起こるクローズドサークルの中での連続殺人が、さら...
この時期の西村京太郎は面白い。まず設定が良い。孤島に誘拐されてきたある事件の証人たちと、十津川警部。そしてそこで行われる私設法廷ともいえる状況での事件の再確認。そこで、証言が次々に覆されていく過程もサスペンスフルだけど、それに加えて起こるクローズドサークルの中での連続殺人が、さらの物語を盛り上げる。 事件の真相は、仰天……というわけではないが、確実に推理と傍証を繰り返しながら近づいていくので、納得の真相という印象。ケレン味たっぷりという作品ではないけど、最後まで一気に読めた。
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