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蛍川 の商品レビュー

4.1

46件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

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2014/10/23

いい本です。宮本輝さんは、少年の心がなぜここまでわかるんだろうかと思います。生と死の問題、思春期の少年の心、考えさせられました。

Posted byブクログ

2013/09/10

宮本輝の「川三部作」のうち、2つが収録されている。 泥の河、蛍川とも戦後の復興期の中を成長していく 少年を中心に描いているが、少年の心の描写がうまい。 戦後が舞台だから、もちろん暗いのだけど イヤにならない暗さ。 文学とはこういうものだ、と納得させられる

Posted byブクログ

2013/09/08

濃厚な生と死のにおいが川から漂い、戦後復興から経済成長へと向かう時代の流れの中で、少年が自我に、性に、他者との関わりに目覚め、ひとつの成長のステップを踏む。非常に明快な骨格を持つ作品だが、構成そのものは分かりやすくても、物語は全く陳腐でない。少年たちを見守る大人たちもまた、自分の...

濃厚な生と死のにおいが川から漂い、戦後復興から経済成長へと向かう時代の流れの中で、少年が自我に、性に、他者との関わりに目覚め、ひとつの成長のステップを踏む。非常に明快な骨格を持つ作品だが、構成そのものは分かりやすくても、物語は全く陳腐でない。少年たちを見守る大人たちもまた、自分の生き方を大きく変えなければならない。そうして慣れ親しんだ土地を離れることは、大人たちにとっての成長でもあり、この物語は、親離れと土地離れの二重の意味の成長物語であるともいえよう。その大人たちが、姿貌や声の調子が分かるほど浮き立つように描写されていて、その味わいは土地性に加えてこれらの作品の魅力であるのだと感じる。

Posted byブクログ

2013/09/01

1978年芥川賞受賞作「螢川」と、太宰治賞の「泥の川」がおさめられた本作。戦後日本に必死に生きる、民衆の姿。剥き出しの土の匂いが漂ってきそうな、小学生のころの夏休みによく行ったおばあちゃんちを思い出すような、生死の手ざわりを感じる作品。性は生々しくて、死というものは非常に身近で、...

1978年芥川賞受賞作「螢川」と、太宰治賞の「泥の川」がおさめられた本作。戦後日本に必死に生きる、民衆の姿。剥き出しの土の匂いが漂ってきそうな、小学生のころの夏休みによく行ったおばあちゃんちを思い出すような、生死の手ざわりを感じる作品。性は生々しくて、死というものは非常に身近で、きっと生きるって本当はこういうことなんだろうとおもう。おもうけれども、わたしの生活のかたちはそれからあまりに遠く、遠いことを認識するのも陳腐だというようなもので、率直に言ってここから子供時代と古き良き人間の生活へのノスタルジー以外になにをかんじればいいのかわからない。

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2013/07/12

ばななさんのキッチンを初めて読んだ時と同じ気分になった。 作品のレベルが高すぎて、私が感動しすぎて、言葉を尽くしても素晴らしさが語りきれない。 国語の授業みたいに、適当に何らかの価値観と結びつけて語ることはできると思うけど、それがあまりに味気ないと感じさせる。 この作品は、ただた...

ばななさんのキッチンを初めて読んだ時と同じ気分になった。 作品のレベルが高すぎて、私が感動しすぎて、言葉を尽くしても素晴らしさが語りきれない。 国語の授業みたいに、適当に何らかの価値観と結びつけて語ることはできると思うけど、それがあまりに味気ないと感じさせる。 この作品は、ただただ、きれい。 優しく暖かく、ちょっとだけ懐かしさを感じさせる。わたしにとっても、おそらく書いている人にとっても。 描かれるこの世界は天国じゃない、地獄でもない、極端なものは何もない、流れていく時間をおっかなびっくり、でも真摯に懸命にたどる人間の姿が見える。 性的な描写がいくつかあるんだけど、いやらしく感じない。 たぶん、どんな人間でもたどるもので、特別なものじゃないからだと思う。人は出会って別れる、それは当然のこと、でも出会いから生まれた感情はその人の中に降り積もっていく。 語りつくせない。 あと文末の解説の人とは気が合わない。この作品にはきれいなものしか書かれてないよ。

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2013/05/21

(1988.08.06読了)(拝借) 第78回(昭和52年度下半期) 芥川賞受賞 (「BOOK」データベースより) 堂島川と土佐堀川が合流し、安治川と名を変えていく一角、まだ焼跡の名残りを伝えていた、昭和30年の大阪の街を舞台に、河畔に住む少年と、川に浮かぶ廓舟で育つ姉弟のつか...

(1988.08.06読了)(拝借) 第78回(昭和52年度下半期) 芥川賞受賞 (「BOOK」データベースより) 堂島川と土佐堀川が合流し、安治川と名を変えていく一角、まだ焼跡の名残りを伝えていた、昭和30年の大阪の街を舞台に、河畔に住む少年と、川に浮かぶ廓舟で育つ姉弟のつかの間の交友を、不思議な静寂のうちに描く、太宰治賞受賞作「泥の河」。立山連峰を望む北陸の富山市を舞台に、熱を秘めた思春期の少年の心の動きと、いたち川のはるか上流に降るという蛍の大群の絢爛たる乱舞を、妖かに、抒情的に描き、芥川賞を受賞した「蛍川」。鮮烈な抒情がみなぎる、期待の新鋭の代表作二篇を収録。 ☆関連図書(既読) 「優駿(上巻)」宮本輝著、新潮社、1986.10.25 「優駿(下巻)」宮本輝著、新潮社、1986.10.25

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2012/12/10

太宰治賞受賞作「泥の河」 芥川賞受賞作「螢川」 二編を収録。 心地よさすら感じる。いかにも純文学らしい筆致。 両親のこと、友のこと、異性のこと。 少年が成長するさまを淡く丹念に描いている。 そしてほんのりと漂うエロス。 少年の成長にエロは必須だ。 (なんかこのレビューが作品...

太宰治賞受賞作「泥の河」 芥川賞受賞作「螢川」 二編を収録。 心地よさすら感じる。いかにも純文学らしい筆致。 両親のこと、友のこと、異性のこと。 少年が成長するさまを淡く丹念に描いている。 そしてほんのりと漂うエロス。 少年の成長にエロは必須だ。 (なんかこのレビューが作品を台無しにしてる気もするけど) しかし作中で老人が採っている沙蚕がなんだかわからずに、 ググったら大変後悔した。 とても自分に釣りはできそうもない。

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2012/09/18

堂島川と土佐堀川が合流し、安治川となって大阪湾にそそぐ。その合流地点に架かる橋のたもとに住む信雄は、ある日喜一という少年と出会い、川に泳ぐお化け鯉を目撃する。次の日喜一を訪ねた信雄は、喜一が母と姉とで川に浮かぶ舟で生活していることを知る。 昭和30年という時代の暗さや、小学二年の...

堂島川と土佐堀川が合流し、安治川となって大阪湾にそそぐ。その合流地点に架かる橋のたもとに住む信雄は、ある日喜一という少年と出会い、川に泳ぐお化け鯉を目撃する。次の日喜一を訪ねた信雄は、喜一が母と姉とで川に浮かぶ舟で生活していることを知る。 昭和30年という時代の暗さや、小学二年の少年が感じた廓舟の妖しさが、作品全体を支配している。(泥の河) 昭和37年、富山。銀蔵爺さんに、4月に大雪が降った年には、いたち川の上流で蛍の大群の乱舞が見られると教えられた竜夫は、今年こそそれを見に行こうと心をときめかす。(蛍川) 両編ともに、少年の目を通した人間の死や大人の世界を描いている。少年が主人公なのに無邪気さがなく、人が突然ポロッと死んだりしてあっさりと恐怖を感じさせる。 ☆太宰治賞(泥の河)・芥川賞(蛍川)

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2012/09/17

さっぱりした語り口で、想像力をかきたてられる。 思ったよりも堅苦しくない。無理がない。 泥の河、蛍河ともに子供視点でのエロスの匂いを漂わせている。 露骨な表現は全くないのだが、匂いを用いた描写はとても艶めかしく、新鮮みを感じた。 最大の盛り上がりをみせたところで、突然ぱっと終わる...

さっぱりした語り口で、想像力をかきたてられる。 思ったよりも堅苦しくない。無理がない。 泥の河、蛍河ともに子供視点でのエロスの匂いを漂わせている。 露骨な表現は全くないのだが、匂いを用いた描写はとても艶めかしく、新鮮みを感じた。 最大の盛り上がりをみせたところで、突然ぱっと終わる。 我々を妄想の闇へと突き放す。

Posted byブクログ

2012/06/01

研究室にあったから読んでみた。 子供が感じる大人の世界への恐れって感じ。 描写が細かくて映像化しやすそう。

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