シェイクスピア劇の名台詞 の商品レビュー
シェイクスピアの主要作品の山場での名台詞に背景となる場面説明と評釈を加えたもので、巻末には原文と語注までついており、手軽ではあるが心憎いシェイクスピア案内である。シェイクスピアは劇作家であると同時に詩人である。その詩魂ほとばしる台詞を原文と照らし合わせて味読することは、最良の入門...
シェイクスピアの主要作品の山場での名台詞に背景となる場面説明と評釈を加えたもので、巻末には原文と語注までついており、手軽ではあるが心憎いシェイクスピア案内である。シェイクスピアは劇作家であると同時に詩人である。その詩魂ほとばしる台詞を原文と照らし合わせて味読することは、最良の入門と言えるだろう。現代英語にない言い回しや古語が多く、最初はとっつきにくいが、繰り返し音読することで言葉の響きや抑揚を味わいたい。また本書は「ロミオとジュリエット」や「ベニスの商人」、四大悲劇といったメジャー作品だけでなく、取り上げられることが比較的少ない史劇についてもかなりの分量(全体の約三分の一)が割かれており、その意味でも貴重である。シェイクスピア史劇の多くは百年戦争から薔薇戦争に至るイギリス王室の権力闘争が舞台になっているが、イギリス史の流れとともに諸作品をシリーズで眺めることで、個々の作品を歴史的な奥行きのもとに俯瞰できる。本書ではそれがコンパクトにまとまっており大変便利である。ここには利己心、欲望、罪、良心、虚無、運命といった四大悲劇のモチーフの原型がつまっており、四大悲劇へのプロローグとして読むこともできる。絶版になっているのは何とも残念である。
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シェークスピア劇入門。 p244「地上の一切はただ束の間の命しかない。その後に残るものは、愛とか、許しとかいう、精神的な価値ばかりである。」 『十二夜』p88「本来なら、彼らは知恵を働かせて、単なる恋の夢想と本当の愛とを見分ける分別があってしかるべきだというのに、賢者であるはずの...
シェークスピア劇入門。 p244「地上の一切はただ束の間の命しかない。その後に残るものは、愛とか、許しとかいう、精神的な価値ばかりである。」 『十二夜』p88「本来なら、彼らは知恵を働かせて、単なる恋の夢想と本当の愛とを見分ける分別があってしかるべきだというのに、賢者であるはずの彼らにはその賢明さが欠けているのだ。」
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