アメリカ外交50年 の商品レビュー
ケナンは戦後アメリカの外交政策の担当者で、ソビエトに対する「封じ込め」政策を主導した人物。 アメリカ外交が、冷戦下までの50年、大枠としてどういう展開を辿ってきたかを、力学的側面から(つまり、時期ごとに何故アメリカはこう判断したかの材料基準を)理解する為に、最適な著作である。 こ...
ケナンは戦後アメリカの外交政策の担当者で、ソビエトに対する「封じ込め」政策を主導した人物。 アメリカ外交が、冷戦下までの50年、大枠としてどういう展開を辿ってきたかを、力学的側面から(つまり、時期ごとに何故アメリカはこう判断したかの材料基準を)理解する為に、最適な著作である。 この著作の第一部は1950年にシカゴ大学で講演したものをまとめたもので、現代までのアメリカの外交の潮流を、アメリカという国の特殊性を強調しつつ述べている。 この中で特徴的なのは、時代を下るにつれ、アメリカが許容出来る失敗の幅は狭まりつつある――それは迫り来る脅威の為に、という事である。 第二部の内容は、ソビエトの脅威から提案された彼が匿名で寄稿した「X論文」、封じ込め政策の原案となる論文の紹介である。 60P程度ながら、本書の中核と言っていい。 第三部は85年に増補されたもので、この時期から振り返った当時の政策の評価や展開についての講演になっている。
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