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2023/09/26

 方子女王から直接、伝記小説を書く許可を得て「流れのままに」を賜ったそうだが、日本語で読める史料不足の故に?張赫宙の「秘苑の花」と刊行されたばかりだった方子女王の「動乱の中の王妃」(「流れのままに」の最初の書名)を元にした金一勉の「李王垠殿下の運命」なるものを下敷きにしているのが...

 方子女王から直接、伝記小説を書く許可を得て「流れのままに」を賜ったそうだが、日本語で読める史料不足の故に?張赫宙の「秘苑の花」と刊行されたばかりだった方子女王の「動乱の中の王妃」(「流れのままに」の最初の書名)を元にした金一勉の「李王垠殿下の運命」なるものを下敷きにしているのが一目瞭然だ。一応、「秘苑の花」を読んだ事にしているが、渡辺みどりの方子女王伝のように読んでもいない本を「読んだ事」にしているような気がしてならない。どちらにしろ、他人が書いた小説を元にして「小説」なるものを書いていたら二次創作物となり、盗作の誹りは免れないが、金一勉の文章が下敷きでは三次創作物だ。フリマで売るような二次創作物じゃあるまいに、直木賞作家の赤瀬川隼なら三次創作物でも「小説」として刊行出来る文芸出版社もあるものだ。  もっとも最近にも同じような主題で同じような「小説」を書いた作家がいるけれど。  同じ頃に本田節子が「朝鮮王朝最後の皇太子妃」を書いているのは知らなかったのだろう。本田節子は方子女王本人をはじめとして当時の関係者を取材しているが、自称「英王李垠の元婚約者」閔甲完の「身世打鈴」を日本に紹介した面があるので実際にこの人物の本を読むまで騙されていた新城道彦が酷評しているにしろ、今となっては二度と得難い証言がある本だ。この「小説」を読むと連想してしまう。  こういう三次創作物を「荒唐無稽なフィクションともいえない迫力がある」と「評価」して1頁丸々引用する人もいるものだ。「秘苑の花」なら他の本と参照する意味もあって使うけれど、「青磁のひと」など恐ろしくて使う気にはなれない。

Posted byブクログ