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人のこころに巣食う闇…

人のこころに巣食う闇。時空を超えて鬼がわらう。伝奇長編小説。

文庫OFF

2021/05/28

1983年の西村寿行作品。 「嬈亂(にょうらん)」、「第一章 醜心(おに)」、「第二章 醜男(おに)」、「荒吐鬼(あらばき)」、「第三章 醜類(おに)」という五部構成の連作中短編集。 第一~三章が、現代を舞台に、共通した人物が登場する連作中編。 「嬈亂」は第一章の、「荒吐鬼」は第...

1983年の西村寿行作品。 「嬈亂(にょうらん)」、「第一章 醜心(おに)」、「第二章 醜男(おに)」、「荒吐鬼(あらばき)」、「第三章 醜類(おに)」という五部構成の連作中短編集。 第一~三章が、現代を舞台に、共通した人物が登場する連作中編。 「嬈亂」は第一章の、「荒吐鬼」は第三章の、長い長いプロローグ、というより独立した短編といってもいい平安時代を舞台にした物語。 「嬈亂」と「第一章 醜心」だけでひとつの『鬼』という作品ならば、京都を舞台に平安時代の鬼が現代に蘇る伝奇ロマン+サイコスリラー、という形で綺麗にまとまったのではないかと、個人的には思いますが、そんな風に綺麗にまとまらないのが西村寿行作品。 自らは1980年の長編作『滅びざる大河』をリライトしたような「第二章 醜男」、プロローグにはあまりにも長すぎて中編伝奇時代小説といってもいい「荒吐鬼」、閉鎖的な村人からの逃走劇という西村寿行長編作品お得意のパターンの「第三章 醜類」が、加わることでひとつの『鬼』という作品になること自体が、なかなか奇形的な構成になっています。

Posted byブクログ