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奇子(愛蔵版)(下) の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2022/07/28

『#奇子(下)』 ほぼ日書評 Day625 社会を覆う黒いドロドロしたものを、無理矢理表に引っ張り出してやろう、そんな読後感を持った。 ネタバレになるので詳しくは書けないが、最後、主要登場人物が一堂に会してからの結末が、唯一の救いであろうか。 作中、東京裁判について、以下の...

『#奇子(下)』 ほぼ日書評 Day625 社会を覆う黒いドロドロしたものを、無理矢理表に引っ張り出してやろう、そんな読後感を持った。 ネタバレになるので詳しくは書けないが、最後、主要登場人物が一堂に会してからの結末が、唯一の救いであろうか。 作中、東京裁判について、以下の台詞がある。 "「人道に対する罪」 たしか戦犯にそういう罪状があったっけな" "なにが人道だよ 裁く方にそいつがあるというのかよ…" "あれから何年もたって極東裁判が勝った側のご都合裁判てえことがわかってきとる" 政治的には無色透明とも言われる手塚治虫だが、70年代前半には、こうした評価が主流になりつつあったのだろうか? そこから改めて自虐史観への揺り戻しが強まったキッカケは何だったのか?等という、問題提起の多い作品である。 https://amzn.to/3zCYCeR

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2011/06/10

田舎の閉塞感・戦後日本の混沌を背景とした、手塚先生のダークな描写が鈍く光る作品。 上巻の天外家を中心としたエピソードとは違って、国際的な犯罪や事件にまつわる描写が多く、まるで松本清張の小説を読んでいるかのような怒涛の展開に息をのむ。 あらゆる因果が最終的に奇子へと集まってきてしま...

田舎の閉塞感・戦後日本の混沌を背景とした、手塚先生のダークな描写が鈍く光る作品。 上巻の天外家を中心としたエピソードとは違って、国際的な犯罪や事件にまつわる描写が多く、まるで松本清張の小説を読んでいるかのような怒涛の展開に息をのむ。 あらゆる因果が最終的に奇子へと集まってきてしまうのが、読んでいて非常にやるせなかった。 奇子はこれからも闇の世界で、あの哀しいたくましさをもって生きのびていくのかと思うと呆然としてしまう。 人間の暗部をこれでもか、というくらい描ききる手塚先生恐るべし。

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2009/10/04

霜川事件、三鷹事件、松川事件をうまく織り交ぜつつ、戦後史の裏面を鮮やかに綴った手塚治虫の裏代表作のひとつ。どこまでもどこまでも暗い話に関わらず読者をまったく離さないのは、確実に漫画の神様・手塚治虫の力の成せる技です。文庫本に収録されている橋本治の解説「少年だった大人はグロテスクを...

霜川事件、三鷹事件、松川事件をうまく織り交ぜつつ、戦後史の裏面を鮮やかに綴った手塚治虫の裏代表作のひとつ。どこまでもどこまでも暗い話に関わらず読者をまったく離さないのは、確実に漫画の神様・手塚治虫の力の成せる技です。文庫本に収録されている橋本治の解説「少年だった大人はグロテスクを獲得することが出来るか?」も必見(『奇子』に触れられているのはごく一部ですが)。

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