恐怖短編傑作選 赤い爪あと(文庫版) の商品レビュー
一昨年『百の眼が見ていた』と『悪魔のほほえみ』を借りたのは、 この『赤い爪あと』を求めて果たせず代償行為に走ったためだった――と、 今頃思い出した。 昔の少女ホラー漫画は、よく親戚や友達の家で読ませてもらって、 複数の内容が頭の中でゴッチャになっていることが多い。 そこでストーリ...
一昨年『百の眼が見ていた』と『悪魔のほほえみ』を借りたのは、 この『赤い爪あと』を求めて果たせず代償行為に走ったためだった――と、 今頃思い出した。 昔の少女ホラー漫画は、よく親戚や友達の家で読ませてもらって、 複数の内容が頭の中でゴッチャになっていることが多い。 そこでストーリーを確認しようとWikipediaなどをチェックしていて、 どうしても実際にこれを読みたくなったのだが、 多くの菊川ホラー作品が eBookJapan(電子版)やコミックパーク(オンデマンド出版)で購入でき、 「ソク読み」で借りられるというのに、 何故か『赤い爪あと』はラインナップされていない。 その辺の事情をご存じの方がいらしたら是非ご教示願いたいです。 さて、本作は週刊マーガレットで連載されていたそうで、 集英社から出たコミックス全2巻は中古価格がなかなか大変な有り様。 で、こちらは2002年に講談社から文庫全1巻で出た復刻版、 但し、既に絶版なので、在庫ありますという古書店さんに発送してもらいました。 一読して、当時(1979~1980年)の少女マンガ界においては かなり異端児的な作品だったのではないかと。 羊(ほのぼのとした恋愛マンガ)の群れに 狼(ホラー)が一頭というのはよくあるケースだったとはいっても、 あくまで少女マンガ誌なので、大方は主人公が散々怖い目に遭った末、 ハッピーエンドか、めでたしめでたしとは行かないまでも、 一応謎が解け、事件が解決して終わるのが常道だったはずだと思うのです。 しかし……これは……(汗) 地球外生命体が人体を乗っ取って操り、人間を襲う話であり、 大まかに言って侵略SF×吸血鬼ホラーで、 その頃世間を騒がせていた口裂け女ネタも盛っておきました、 といった雰囲気なのは、まあいいとして…… 救いのない結末が無常感、不条理感を醸しています。 結構茫然とさせられるオチです。 読後感の悪い話をお求めの方にお勧めしたいところですが、 入手困難度が高めなので、いかんともしがたいですね(笑)
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