石の花(愛蔵版)(1) の商品レビュー
ナチス・ドイツに占領されたユーゴスラビアの人々の抵抗を描く。多民族、多言語、多宗教の複雑な国家であるユーゴスラビアは国内にお互いの不満がありナチスに占領されても折に触れそれが吹き出てくる。
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「学問のすすめ」というポッドキャスト番組にゲスト出演していた作家の瀬名秀明が、印象に残る先生は?という質問にフンベルバルディンク先生を挙げたために興味を持ち読んでみる。 恋愛とか友情とかそんなありきたりなテーマがちっぽけに思えるほど戦争に対する人間の心理考察は胸に突き刺さった。...
「学問のすすめ」というポッドキャスト番組にゲスト出演していた作家の瀬名秀明が、印象に残る先生は?という質問にフンベルバルディンク先生を挙げたために興味を持ち読んでみる。 恋愛とか友情とかそんなありきたりなテーマがちっぽけに思えるほど戦争に対する人間の心理考察は胸に突き刺さった。誰しもが戦争を嫌い平和を望むにも関わらず、他人を優越し上回ろうとする精神は人を戦争へと駆きたてる。クリロとイザークの悩みはよくわかる。 勧善懲悪のストーリーを期待するならば読後にすっきりしないモヤモヤが残るだろう。しかし何かを考えさせられるのが良い本の定義だとすれば本作は文句なく素晴らしい。そう、フンベルバルディンク先生の答えのないナゾ掛けのように。 坂口先生はどんなきっかけで当時情報の少ないユーゴに興味を持ち、(おそらく)膨大な取材、勉強を重ねこの作品を完成させたのだろうか。今となっては知る由もないが早世されたことが残念でならない。 この作品が日本で日のあたらない場所にあることももったいないことだけれど、日本だけにとどまっていることも惜しいことだと思う。世界中の人間が読み、考え、議論されるべき作品だ。 スロベニアの鍾乳洞、死ぬまでに行ってみたい場所がまた一つ増えた。
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