レア者(下) の商品レビュー

中村真理子(著者)

2014/01/11

上巻のドライさはどこへやらのラブドラマがいつの間にか
展開されていきます。

あれー？上巻で描かれていた恋愛描写を見落としたのか？
ってくらい、ちょっと突然な気がしないでもありません。

それでも、本作品のテーマともなる「自分で生きるしかない」という
ものがバタバタ劇の合間に登場して、
でも説教臭くなく、いいバランスなのかもしれません。

宝物って、案外、手に入らないようで、もう大切な心の一部になっていて、
それで自分がまた後の人生で出来上がって…っていう
美しい絡まり方をしたものを宝物っていうのかもしれません。
そういう、宝物の存在もある。
繋げなかった人への愛情も、大切な宝物。

そういう、終盤の描き方も好きです。
硬派そうな上巻の描かれ方とはかなりちがうオチですが、
けっこうさわやか系です。