ブリットポップとは?
1990年代のイギリスで起こった音楽ムーヴメント。当時アメリカのグランジ・ロックの隆盛に押され気味だったイギリスのロック音楽界において、オアシスやブラーといったイギリス人らしい音楽性や、独自の気質をアイデンティティとした多くの新人バンドの登場と活躍によって、イギリス音楽界に活気と変革をもたらし、一連のバンド達は『ブリットポップ』とカテゴライズされるようになった。
ブームの立役者!
Oasis(オアシス)
名盤
レビューもはや説明不要の名盤2作。「ロックンロール・スター」「リヴ・フォーエヴァー」等まだ粗削りな輝きを求めるなら1st『オアシス』を。「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」「ワンダー・ウォール」をはじめ、捨て曲なしの名曲だけを求めるなら2nd『モーニング・グローリー』を。
女性Voのルイーズのルックスも人気を博した
Sleeper(スリーパー)
おすすめ
レビューポップでダンサブルなニュー・ウェーヴサウンドに乗せたハスキーな低音女性Voが心地良い。その音楽性は現在でも再評価されている。
周辺バンドのご紹介
今回ご紹介しなかったブリットポップ周辺にはたくさんの良質なアーティストがいました。
Radioheadはもちろん、Super Furry Animals、Duffy、Mansun、Mover、Whiteout、Spaceなどの同時代的にヒットしたアーティストや、ブリットポップ以前にデビューしていたマニック・ストリート・プリーチャーズ、ポールウェラーなども再ブレイク。
ブリットポップ終焉後には、トラヴィス、フィーダー、プラシーボ、ステレオフォニックスなどが登場した良い時代でした。
代表曲が「史上最も気分が良くなる曲」に
The Boo Radleys(ザ・ブー・ラドリーズ)
おすすめ
レビュー3rd『ウェイク・アップ!』収録の代表曲「ウェイク・アップ・ブー!」はある心理学者の研究で、「史上最も気分が良くなる曲」として発表された。対して初期はシューゲイザー色が濃く、2nd『ジャイアント・ステップス』は轟音+ポップな傑作として、コアなリスナーの評価が高い。
デビュー当時、メンバーは全員10代
Northern Uproar(ノーザン・アップロアー)
おすすめ
レビューマニックスのジェームスがプロデュースした1st『ノーザン・アップロアー』は駆け抜ける青春の疾走感が魅力。対して2nd『イエスタデイ、トゥモロウ、トゥデイ』はホーンの導入や、随所にソウル・エッセンスが散りばめられた作りで、知る人ぞ知る隠れた名盤との呼び声も。
「ビター・スウィート・シンフォニー」は90年代を代表する名曲
The Verve(ザ・ヴァーヴ)
名盤
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レビュー3rd『アーバン・ヒムス』はストリングスのループが印象的な名曲「ビター・スウィート・シンフォニー」のみならず、収録曲全てが美しいメロディとアレンジで構成され、90年代の英国ロックのベストアルバムと度々評価される歴史的名盤。
ニュー・ウェーヴ・オブ・ニュー・ウェーヴの代表格
These Animal Men(ジーズ・アニマル・メン)
おすすめ
レビューブリットポップと同時期の『ニュー・ウェーヴ・オブ・ニュー・ウェーヴ』という短命のムーヴメントで語られることの多い彼ら。パワー・ポップ的疾走感と若さあふれる瑞々しいメロディが好きな人には堪らない良作。
ブリットポップの発端的バンド
Suede(スウェード)
名盤
レビュー耽美的サウンド、ブレッド・アンダーソンの中性的なヴォーカル、バーナード・バトラーのメロディアスなギターの絡み合いが最大の特徴であり魅力。特に1st『スウェード』はイギリス国内外を問わず、多くの更新アーティスト達に影響を与えている。
英国的正統派の好バンド
Dodgy (ドッジー)
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レビュー2nd『ホームグロウン』収録「スティング・アウト・フォー・ザ・サマー」や3rd『フリー・ピース・スウィート』収録の「グッド・イナフ」がヒット。どちらも正統派UKロックとして長く愛聴できる好盤。
インド音楽をミックスしたグルーヴィなサイケ感
Kula Shaker(クーラ・シェイカー)
おすすめ
レビューインド音楽とサイケデリック・ロックをミックスしたグルーヴ感と印象的なメロディで人気を博す。1st『K』、2nd『ペザンツ、ピッグス&アストロノウツ』は90年代の傑作として今なお熱い支持を得る。高尚に見えて意外と聴きやすいのは、センスの証。
北アイルランドが生んだ代表的バンド
Ash(アッシュ)
おすすめ
レビューロックの躍動感溢れるサウンドと泣きのメロディの絶妙な調和が魅力。バンドは成長期の上記2作を経て、その後ブレイク期の名作3rd『フリー・オール・エンジェルズ』、4th『メルト・ダウン』でその魅力を劇的に開花させていく。
ブリットポップのその後は?
2006年以降、多くのブリットポップ・バンドに再結成の動きが続き、クーラ・シェイカーやシェッド・セヴン、ドッジー、マリオン、ノーザン・アップロアーが復活し、その流れでBlur、Suede、verveなども復活。
逆に長らく第一線で活躍していたOASISは解散し、二人はそれぞれのバンドで現在活躍中。
変わったところでは、マリオンのメンバーはニュー・オーダーに加入、メンズウェアのメンバーは若手バンドのプロデューサーになりました。
90年代を代表するUK青春映画
DVD
レビュー刹那を生きる英国の若者を描いた、ユアン・マクレガー主演の90年代を代表する青春映画。なによりサウンドトラックが本当に素晴らしく、イギー・ポップら世代を超えた豪華アーティスト達に加え、当時旬のブリットポップ勢の楽曲も多く使用された。
ブラー、オアシスと並ぶブームの代表格
Pulp(パルプ)
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レビュー「コモン・ピープル」は華やかでノリの良い、ブリットポップを代表するヒット曲。その他「ディスコ2000」等のヒットを飛ばすが、ブームの狂乱の代償は次作『ディス・イズ・ハードコア』の陰鬱なトーンに反映されることとなる。
多くの同業者に愛されるミュージシャンズ・ミュージシャン
Supergrass(スーパーグラス)
おすすめ
レビュー1st『アイ・シュド・ココ』収録の「Alright」をはじめ、ポップでキャッチー且つ多様な音楽性を感じさせるソングライティング・バンドスキルは、オアシスのリアム、ブラーのデーモン、レディヘ、くるりの岸田etc…多くの同業者からリスペクトされる。
ボーカルの美女ジャスティーンは『恋多き女』
(ブラーのデーモン、スエードのブレッドと元恋仲)
Elastica(エラスティカ)
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レビューシンセをフィーチャーしたサウンドとクールな女性Voが00年代ニュー・ウェーヴ・リバイバルにも通じる秀逸作。ちなみにブラーの楽曲「テンダー(アルバム『13』収録)」はジャスティーンとの別れを描いた曲との逸話も。
インド系の女性Vo、同性愛者の女性Gt等メンバー構成も特徴的
Echobelly(エコーベリー)
おすすめ
レビューサウンドはとにかくポップでキャッチー。どこか甘酸っぱい感じも日本人好みなのでは?シンガロング系好きには大推薦の2作。ちなみにマドンナや元ザ・スミスのモリッシーも当時お気に入りだったらしい。
時代に埋もれてしまった良バンド
Marion(マリオン)
おすすめ
レビュー2nd『ザ・プログラム』は元スミスのジョニー・マーがプロデュース。耽美的ながらもどこか乾いた疾走感のあるギター・ロックが特徴で、モリッシーもお気に入りだったとか。ギタリストのフィル・カニンガムはその後、世界的な人気を誇るニュー・オーダーに加入。
ブリットポップ史上最も素晴らしい曲は?
イギリスの音楽誌NMEのサイトで2013年5月に行われていた「ブリットポップ史上最も素晴らしい曲は?」の人気投票結果です。
1位の「Live Forever」をはじめ、TOP5をオアシスが独占!
1. Oasis 「Live Forever」
2. Oasis 「Don't Look Back In Anger」
3. Oasis 「Supersonic」
4. Oasis 「Cigarettes & Alcohol」
5. Oasis 「Wonderwall」
6. Pulp 「Common People」
7. Suede 「Animal Nitrate」
8. Blur 「Girls & Boys」
9. Suede 「Trash」
10. Blur 「The Universal」
11. Blur 「To The End」
12. Blur 「Parklife」
13. Suede「The Drowners」
14. Blur 「End Of A Century」
15. Pulp 「Disco 2000」
16. Pulp 「Sorted For E's & Wizz」
17. Supergrass 「Alright」
18. Pulp 「This Is Hardcore」
19. Blur 「For Tomorrow」
20. Suede「The Wild Ones」
ブームの象徴!
Blur(ブラー)
名盤
レビュー3rd『パークライフ』は、彼らのポップでシニカルなセンスが爆発した、ブリットポップを象徴する名盤。その前作、2nd『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』は英国的な音楽をというアイデンティティを持って制作され、ブリットポップの元祖的作品として位置づけられている。4th『ザ・グレート・エスケープ』も名作。
元ハッピー・マンデーズのメンバーにより結成
Black Grape(ブラック・グレープ)
レビューストーン・ローゼスらと共に、マッドチェスターの象徴的存在だったハッピー・マンデーズのショーン・ライダーとベズを中心に結成。黒人ラッパーや多彩な楽器・ゲストによる、ファンクネスなダンスビートが今聴いても非常に痛快。2nd『ステューピッド、ステューピッド、ステューピッド』が当時あまり売れなかったというから不思議。
『マッドチェスター』の代表格、ハッピー・マンデーズも必聴
ブリットポップの隆盛と終焉
ブリットポップが一番の盛り上がりを魅せたのは1995年8月14日、Oasis VS Blurの“ブリットッポップ頂上対決”というのは異論はないでしょう。
「Roll With It」(Oasis)と「Country House」(Blur)が同じ日にシングルを発売するというで、どちらが1位を獲るかでメディアが加熱。
結局はBlurがシングル2枚同時リリースという、なんだかなあな戦法で勝利。
その後順調に続くかと思われたこのムーヴメントもデーモン・アルバーンの「ブリットポップは死んだ」発言を機に97年ごろから徐々に衰退し、98年には終焉を迎えました。
イケメンバンドとして脚光を浴びるが…
Menswear(メンズウェア)
おすすめ
レビュー当時は特に日本での人気が高かったバンド。ルックスの良さもさることながら、どこかイギリスよりも日本のバンドに通じるようなキャッチーさがある。
同時期のバンド達とは一味違うセンスが光る
Ocean Colour Scene(オーシャン・カラー・シーン)
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レビュー英国の伝統的ロックを継承・咀嚼した、土臭くもあるが職人肌の確かな楽曲が魅力。その中でも上記2ndと続く3rd『マーチング・オールレディ』は傑作として名高い。ポール・ウェラーとはアルバムへのゲスト参加やサポート等、彼の弟分的存在として関係が深い。
「90年代のザ・スミス」とも評された
Gene(ジーン)
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レビューザ・スミスを彷彿とさせる、耽美なボーカルと繊細なギターの絡みが印象深い良バンド。特に1st『オリンピアン』、2nd『ドローン・トゥ・ザ・ディープ・エンド』は過小評価されていると語られることも珍しくない。