たりる生活 朝日文庫

群ようこ(著者)

• 販売会社／発売会社: 朝日新聞出版
• 発売年月日: 2025/11/07
• JAN: 9784022621238

商品レビュー

2025/11/30

『たりる生活』というタイトルに惹かれて手に取りました。
「足りる」というのは自分の中のテーマでもあって、広いおうちにコレクションを並べる暮らしもたしかに憧れますが、今の部屋の広さに収まるのが適切な量、と考えて細々と処分したり入れ替えたりしています。

なので、そうした「足りる」ことへのヒントになればと思い読み始めたのですが……ううん、なんともスッキリしない一冊。。
そもそも、愛猫と別れ、前期高齢者となった作者が将来のことを見据えて今よりも狭い部屋に引っ越すところからスタート。
当然、物理的に物が入らないわけですからどんどん処分しないといけません。なので蔵書や服などの選別に励むのですが、……なんだかそれが一向に進まないのです。
職業柄本がとにかく多いため、その点は非常に共感しながら読んでいましたが、そのわりに「すぐ手に入るから」という理由で手放してしまったりもする。「それ捨てちゃうの？！」と「それ捨てないの？」が噛み合わず、モヤモヤする一幕も。

結果、引っ越しまでに大量に処分したわりに新居に130箱もの段ボールを持ち込むこととなり、半年以上経過しても「片付け」が終わらぬまま本は終わることに。読んでるだけでもこれなのだから、さぞご本人はぐったりされたことでしょうね……。
本と服に関してはページを割いて書かれていましたが、おそらく片付かない原因はそれ以外の雑多なものにあるのではないかと。27年に及ぶ旧居での暮らしで、明確に名前をつけられない細々したものが集積してしまった結果なのではないかと思いました。

「たりる生活」へのヒントはあまり得られなかったものの、このエッセイをきっかけに、捨てるのが面倒だったあれやこれやを捨てる後押しとなりました。もうすぐ年末ですしね。
自分の身の丈に合った、素敵なものたちに囲まれた暮らしを、今後も追求していこうと感じたちょっと変わった読後感のエッセイでした。

2025/11/12

そろそろ今年最後の片付けをと、本を減らす為に後押ししてくれる本を買う。（結局、減らしてもまだまだ増えるのですが。）

本書では、著者が終活に向けた第一歩として、先ずは住む器を少し小さくて（必然的に住居費も減る）、強制的に物を減らす。という作業の日々を軽やかに？綴ったエッセイになっています。
ご本人の物を減らす作業だけでなく、知人の両親の引っ越しの作業なども綴られていて、本当にたくさんの物を片付けていかなければいけない作業は、体力的にも気持ちの面でも大変な訳です。

わかっていても中々片付けが進まないものなので（私の事です）、時々この手の本を読んで愉しんで。よし、やらねば！と奮起したい方、おすすめですよ。