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記憶するチューリップ、譲りあうヒマワリ 植物行動学
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 早川書房 |
| 発売年月日 | 2025/08/20 |
| JAN | 9784152104557 |
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記憶するチューリップ、譲りあうヒマワリ
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商品レビュー
3.3
3件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
『#記憶するチューリップ、譲りあうヒマワリ 植物行動学』 ほぼ日書評 Day952 植物の「行動」学という、何とも不思議というか矛盾したタイトル(邦題)で、珍しく邦題が内容をとらえている一冊。 さらに行動だけでなく、植物に「人格」や「母性」といったものまで見てとろうとする。 もちろんこれは「擬人化」のなせる技だが、それでも、象やカラスに家族愛や同類愛を見出す姿勢とさほど変わらないレベルの植物の「行動」が、最新の研究により明らかになってきたというのは、驚きだ。 背景にあるのが、70年代頃にセンセーショナルな驚きを持って迎えられた、植物は音楽を聴き分けるとか、脳波を電極で送って「植物を燃やすシーン」をイメージするとストレスを感じるといった "研究"。 それらはフェイクでしかなかったことが後に明らかにされたが、逆にそれがトラウマとなり、本書のような研究に日が当たりづらかったのだと。 植物、土壌、微生物、菌類、昆虫他の動物といったものは相互に繋がりあっている。 命は流転するというのは、比喩的な表現だけでなく、花粉を運ぶ蝶などは、幼虫の頃にはその植物の葉を食べていた。 植物は自らが食べ尽くされることのないよう、芋虫の食欲を奪う化学部質を葉に送り込むことで自己防衛を図る。といって芋虫を絶滅させてしまっては元も子もないので、頃合いが難しい。 植物の生育に、菌類の寄与度が極めて大きいこともわかってきた。 「私たちが『植物』と呼ぶものは、実際には藻類を栽培するよう進化した菌類と、菌類を栽培するよう進化した藻類のことだ」という主張も現れているほどだ。 シダ類には "精子" がある。通常は胞子で繁殖すると思われているが、実は我々がイメージする葉状体という形態に成長する前に、配偶体という全く異なる形態で過ごす一時期があり、その期間は雄性のものが "精子" を放出し、これが周囲の水分の中を泳いで雌性配偶体の卵と出会い受精するという発達過程を経ている。 エリシア・クロロティカという「ウミウシ」の一種は、動物と植物の境界を曖昧にするもの。生まれてすぐに特殊な藻から葉緑素のみを体に取り込み光合成で養分を得る。 ぜひ画像検索していただきたいが、見た目も葉っぱそのものだ。 このように、菌類、植物、動物という当たり前のように引かれていた境界線が、曖昧になってきている。 逆に植物には「存在しない」と思われていたような「行動」が諸々見出されても不思議ではないのだ。 全く同じ種類同士を植えるよりも、近縁種同士を植える方が、より大きな花を咲かせ(昆虫に対する看板効果)たり、結果として実の収穫量が多かったりする。遠い種相手だと、地中の勢力争い(互いに遠くまで根を伸ばそうとする)方に体力を消耗し、収穫量は見劣りする。 逆に、同種の植物が群生する際に日当たりが悪くならないように互いの葉の位置を1-2日程度で調整する仕組みが確認されている。 特にタイトルにもなっている "向日葵(ヒマワリ)は譲り合う" というのは、土壌中に栄養豊富な箇所がある際、複数のヒマワリをその周りに等距離に植えると、むやみに根を伸ばさない遠慮深い振る舞いを見せる(単体であれば、どんどん根を伸ばすのに)ということだそうだ。 適者生存とは、果てしない競争を生き延びることではなく、こうした譲り合いの中で、種の多様性を維持しつつ、時々の環境変化に耐えうるものを残していこうとする姿勢のこと。 https://amzn.to/4p4oQ16
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2か月ほど前、新聞書評で見かけた一冊(日経新聞)。図書館に予約して借り出せた。 原題は『The Light Eaters』、光を食べるもの、だ。 いや、それじゃあ読まなかったなあ。うまい邦題を付けたものだ。しかも、チューリップもヒマワリも主な登場人物? ではないのに(笑) 近年、人間以外の動植物にもコミュニケーション能力があったり、思わぬ行動が見られるという書物が注目を集めている。日本でも動物言語学者の鳥(シジュウカラ)の言葉をめぐる著書がベストセラーだ(本書の中でもその論文が引用されている)。 本書は、われわれ人間の常識だった「植物は静的かつ受動的な存在」を覆し、意外や、植物はわれわれの想像以上に能動的だぞ、ということを、多くの例を引いて紹介している。 虫に襲われた(要は葉を齧られた)植物から遠く離れた植物も、対抗措置を取る(葉の成分を変える)。これは、植物が空間を隔てて「コミュニケーションを取っている」のか? 葉を食べるイモムシの唾液を分析、種類を特定すると、そのイモムシに寄生するハチを、化学物質を放出することで呼び寄せる。 めちゃくちゃ能動的に外敵に対抗しているのだ。 そのため、ある種の知性、記憶、意思疎通能力があるのでは? というのが、昨今の植物生態学の研究テーマのようだ。 脳死し、機能停止している人間を、「植物状態(vegetable)」というのはもってのほか! そもそも語源のラテン語vegetabilisは、成長あるいは繁栄の意、動詞のvegetareは生気や活気を与えることだ。 植物を、なめんなよ! という全体を通じたメッセージは面白い。 が、読みにくいんだよなー。 日本だと、これをテーマごと、能力ごとに整理して、図解も入れて分かりやすく読みやすい一冊に仕上げるだろうなあ。 ジャーナリストが、それぞれの研究者を訪ねていって、その研究活動の現状、背景を語る。なんならヒトトナリなどは、本書を手にとる人には不要な情報だ。 でも、恐らく、こういう周辺の情報、ディテールを積み上げて、論を展開していくのが、西欧のお作法なのだろう。 「どんな文化も、それを理解しようとすることは氷山を見ることに似ていて、目には見えない広大な部分があるのだとよく言われる。」 この一文、そまさに、そんなことも言っているようだった。異文化の理解、そこから異生物の理解も深まる? 要は、植物に関しても、人間の常識的な概念を変える、あるいは概念そのものを拡大して考える必要があるということだ。 植物に聴覚があって、イモムシの咀嚼音を聞いているといっても耳があるわけではなく、葉、茎、幹を伝わる振動を感じているということだが、その行為は(← それを行為といっていいのかも考えさせられるが)、あたかも「聞いている」なのだ。「聞く」という概念を見直す必要がある。 知性、記憶についても、もっと広く、深く考えを改めてもいいのかもしれない。「脳」の存在も、身体の一番上にのっかっていて、大きければいいというものではないのだ。 ダートマス大学のモニカ・ガリアーノの以下の言葉を噛みしめることが、本書の大切な学びだろう。 「わたしたちは新参者です。伝統からしても、年長者には敬意を払うべきです」。 年長者とは、「細菌」、「菌類」、「植物」のこと。彼女は、人間を頂点とする今の世の中のあらゆる発想を、「傲慢」で「未熟」だ言い切っている。 大切な、考え方だ。
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原題「The light eater」 に対する邦題が、「記憶するチューリップ、譲りあうヒマワリ」。 まず、邦題が素晴らしい!。 書かれている内容も、とても刺激的でした。 1970年代のベストセラーのせいで、植物の感覚や意識に関する研究が長らくタブーとなったこと、それでも、近年の研究からわかったこと。 植物は物理的接触を感じており、音を聞き、光から周囲を伺うことができるのみならず、近くの植物と自分の遺伝的関係もわかる、それら外部情報を得て、自分(根と枝先)が何処へ向かうか判断している。 植物間や動物と、コミュニケーションを行っている。 微生物も含めたコミュニティの中で生きている。 れっきとした生物である。 植物は、どちらかといえば、静物という無意識の思い込みがあったことに気づき、実は生物と意識して見たときには、今まで見ていたものとは違う世界が見えてくる。 読み始めて、この本の著者が、研究者でなく、ジャーナリストとわかった時には、正直なところ、なんだか少し肩透かし感(?)があったのだけど、ジャーナリストだからこそ(?)の面白い読み物になっているようにも思いました。
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