雪豹の大地 スピティ、冬に生きる

山本高樹(著者)

• 販売会社／発売会社: 雷鳥社
• 発売年月日: 2025/04/22
• JAN: 9784844138136

商品レビュー

2025/07/06

星野道夫は「心を豊かにする自然」があるという。

さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり、勇気を与えられたりすることがきっとある。

と述べている。そんな自分の人生とは遥か遠く距離を置いた自然に触れることができるのが、この本だと思う。淡々と述べられている中にある、豊かな自然が、豊かな気持ちが湧き出るものが、そこにはある。
山本高樹さんの淡々とした、それでいて旅をしている中での気持ちの変化がわかる語り口がとても好き。

2025/06/23

北インド、チベット文化圏のスピティ地方に雪豹の姿を求めた滞在記と、写真集。5000メートル超の高山地帯の冬、そこに住む人々の暮らしや、レッドリストの野生の雪豹やキツネ・狼・カモシカたちの写真が素晴らしい。
過酷な自然の中に暮らす人たちの生き生きとした笑顔も印象的。
温暖化は、この北インドの村にも影響を与えている。この雪豹たちとのかかわりも、どう変わっていくのか。私たちも考えなくてはいけない。

雪豹の写真に惹かれて読みはじめたが、期待以上に良かった。

2025/04/26

今度は雪豹か、なんか意外だなと思った。
中国に占領されているチベットの方の雪豹のドキュメンタリーを見たことがありそのイメージが強かった。
北インド、スピティの雪豹は全然違う。スピティの村の人々にとても近い。家畜を襲われる。今は観光客やカメラマンが雪豹を探し求めて閉ざされていた冬のスピティにもたくさんやってきて、仕事、収入になる。スキャナーと呼ばれる現地の人が雪豹や他の野生動物の動向を追う、なんて。
全然相続と違う雪豹との出会い。
山本高樹さんはこれまでもラダックやザンスカールやスピティで、出会って関係を結び深めていた人々と同じように、雪豹に出会ったことがなんとも感慨深い。
雪豹をしっかり捉えた数々の写真。
なんか知り合い？遠いところから様子を伺ってる、みたいな感じに雪豹が映るのは、スピティだからなのか山本高樹さんだからなのか。
若い人、スキャナーや村の人々、との交流，冬の食べ物，祭り、シャーマン、いつまでも続いてほしい、村の暮らし。温暖化の影響を免れない気候や野生動物や暮らしにも影響与える変化。
それでもここの人たちは、その時々を生きて行くだと思う強さとおおらかさが溢れる。
私たちは，コンクリートジャングルにいて、なにができるのか。

写真が素晴らしい。
いっきに読んだ。
ラダック語とスピティ語がとても似ていたりとても異なっているのも面白い。
ザンソン，ありがとう。

村の女性たちがうたう詩、暮らしの中の家族の会話から、若い人や子どもがとても大切にされていることを強く感じ，心が動かされた。