芸術と社会 近代における創造活動の諸相

高階絵里加(編者), 竹内幸絵(編者)

• 販売会社／発売会社: 森話社
• 発売年月日: 2025/01/20
• JAN: 9784864051873

商品レビュー

2025/02/16

1. 役割と歴史的背景
- 親鸞上人の法要: 甜吉郎によると、親鸞上人の命日法要には特定の役割が与えられており、これにより法要の具体的な様子がわかる。
- 善宗と善雪の画系: 徳力家と本廂寺の関係は善宗の代から始まり、善宗が本願寺絵所となった。善宗が生きていた時代は桃山時代の絵画の黄金期であり、狩野派や長谷川派の活動が活発だった。

2. 法要と絵所の役割
- 西本願寺の造営: 西本願寺の造営は善宗の代に行われ、法要に向けた絵所の役割や作品が重要視されていたことが示されている。
- 絵伝の制作: 法要のために制作された絵伝には、善宗が制作した金銀の梅竹内や「松葛雪図」が含まれており、これらの作品が法要の文化的意義を反映している。

3. 地域文化と美術展
- 地方都市での文化拠点: 地方都市においては、陳列所が美術や音楽の発表の場として機能し、地域文化の重要な拠点としての役割を果たしていた。
- 新潟県商品陳列館の事例: 新潟県の商品陳列館では、美術展覧会が地域社会に与える影響を考察し、展覧会の開催が商工業界の進展と結びついていることが指摘されている。

4. 美術の実用性と批評
- 実用本位の作品: 高崎楳拍は、実用的な作品が自宅で使用できることを強調し、従来の美術界の批評とは異なる視点を提示している。
- 床の間芸術の変化: 床の間に掛けられる作品が美術としての価値を持つ一方で、床の間芸術に対する批判的な視点も存在することが示されている。

5. 疫病と美術の表現
- スペイン・インフルエンザの影響: サージェントの作品がスペイン・インフルエンザを表象しているという新しい解釈が提案され、戦争と疫病がいかに結びついているかが考察されている。
- ジェンダーと疫病の表象: スペイン・インフルエンザの表象におけるジェンダーの問題が指摘され、女性作家の作品がパンデミックをテーマにした一方で、男性作家は戦争をテーマにする傾向があったことが明らかにされている。

6. 映画と文化的発信
- 板垣鷹穂の文化映画: 板垣は「文化映画」の発展に寄与し、映画が芸術表現としての役割を担うことを目指した。彼の活動が、映画を通じた文化的発信にどのように寄与したかが述べられている。
- 戦後の映画界の変化: 戦後の板垣は、映画界からの距離を置くようになったが、文化映画がどのように人々に影響を与えたかが考察されている。

7. 文化的アイデンティティと芸術
- 日本的現実の把握: 現代の芸術家が日本の歴史的現実をどのように捉え、作品に反映させるかが重要なテーマとなっている。
- 前衛美術の役割: 前衛美術が新しい領域を開拓することに重視され、芸術が社会や文化にどのように関与するかが議論されている。