技術革新と不平等の1000年史(下)

ダロン・アセモグル(著者), サイモン・ジョンソン(著者), 鬼澤忍(訳者), 塩原通緒(訳者)

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 2023/12/20
• JAN: 9784152102959

商品レビュー

2024/09/01

技術革新は必ずしも人間を幸せにしないし、バンドワゴン効果も限られるし、トリクルダウンも起こらないという仮説を、いろいろな事例から検証したもの。過去に、全体が豊かになった時には「社会運動」「社会の連帯」が起こり、方向性が正されていた。今の時代、SNSなどで連携はし易い一方で、ヘイトなども起こりやすくなっているし、ネット遮断や監視に走る国家もあり、過去の事例は期待できそうもない。これは気をつけておかないと。

2024/08/31

教育のことも少しは書いてあったが実例が書かれておらず、抽象的なものであった。AIの章ではきたいしたがそれほど学生の役に立つとは思われなかったのがざんねんである。

2024/08/20

下巻では、デジタル・テクノロジーの方向性の話がメイン。
　AIテクノロジーの現状では、オートメーションが進み賃金の停滞や雇用からの排除が起こっている。またデジタル・テクノロジー企業によって、テクノロジーが監視や非民主的な政治に活用されている。当該企業は個人情報のデータ収集を利用して広告収入を得ている。

　まだデジタル・テクノロジーの方向性は定まっていないため、アメリカの歴史的教訓を参考に、人間を補強する方向へと修正可能であるという。
　そのための柱として次の3点を上げていた。一つ目は語り方（ナラティブ）を変え規範を改めること、二つ目は対抗勢力の養成、三つ目は新しい語り方と調査と専門知識に基づいて練り上げた政治的解決策。

　語り方を変えて人びとの認識を変えて、市民団体等の対抗勢力が力をつけて、方向性を変えるインセンティブを付与する政策を政治が実行するといったところか。