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明治浮世絵師列伝
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明治浮世絵師列伝

菅原真弓(著者)

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明治浮世絵師列伝

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論美術出版
発売年月日 2023/03/25
JAN 9784805515020

明治浮世絵師列伝

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2023/09/26

昨今にわかに注目度が上がっている、月岡芳年やその兄弟子の落合芳幾を含む、明治の浮世絵師四名を取り上げた論考。以下要約。 北斎にも勝る転居の回数で有名な、三代豊国の弟子豊原国周は、役者絵を得意とし、後年“明治の写楽”とも称された。画面いっぱいに役者の顔を描いた大首絵は、さしずめ「...

昨今にわかに注目度が上がっている、月岡芳年やその兄弟子の落合芳幾を含む、明治の浮世絵師四名を取り上げた論考。以下要約。 北斎にも勝る転居の回数で有名な、三代豊国の弟子豊原国周は、役者絵を得意とし、後年“明治の写楽”とも称された。画面いっぱいに役者の顔を描いた大首絵は、さしずめ「大顔絵」とでも呼ぶべきか。三枚続の大画面に役者一人の半身像を描いた「三枚続一人立ち」は大迫力だ。激動の社会情勢に浮世絵師たちが翻弄される中、江戸末期の役者絵の様式を固辞したが、極端な短縮法を用いたり、「目力」のある顔貌表現により、独自の様式を確立した。美人画においても、三枚続に女性の半身像の群像を描いたり、役者絵で確立した目の表現を転用するなど、近代を志向した表現を模索した。 国芳の門人で、月岡芳年の兄弟子に当たる落合芳幾は、浮世絵研究の分野では、錦絵のみが研究対象とされてきたために、十分に評価されてこなかった。『東京日日新聞』や『平仮名絵入新聞』の創刊に関わった「新聞人」としては評価されており、新聞錦絵の創始や、新聞に初めて挿絵を入れた事例を作った。金属活字の紙面に挿絵の版木を組み込んだ印刷手法は、当時としては画期的なものだった。また、雑誌『歌舞伎新報』に数多くの挿絵や表紙絵を寄せ、後進の絵師たちにも活躍の場を拓いた先駆者であった。 月岡芳年は、三島由紀夫による論考をきっかけに「血みどろ絵」が注目され、死因が精神疾患であったこともあり、「病んだ精神が作品に投影されてしまった画家」として語られてきたが、そのような作例は120点ほどで全作品の1%程度、刊行年代も40年にわたる画業のうちほんの4年間にすぎない。最も多くを占めるのは「歴史画」で、菊池容斎『前賢故実』にその多くを取材している。天皇の絶対的権威の浸透政策(復古思潮)と、列強を意識した開明的な政策(文明開花)という、明治政府による一見矛盾する二方向への政策展開に呼応するように、芳年作品にも、洋風表現への顕著な志向と復古的な主題という相反する要素が混在する。 「最後の浮世絵師」と称される小林清親は、実は浮世絵の画系に連ならず、独学で絵を学んだとされる。輪郭線を持たずに色面を重ね摺りする表現を用い「光線画」と称して出版されたいわゆる「東京名所図」シリーズが出世作だが、すぐに筆を折られることになる。「ポンチ画」と呼ばれる風刺画や、新しいメディアである写真への接近も指摘される。風景画の分野では「明治の広重」と称されるとおり、広重作品を積極的に受容し、その画面構成と光の表現を発展させることで、のちに新版画へと継承される表現技法を獲得した。戦争錦絵においても新しいスタイルを確立した。登場人物の数を絞り濃淡と大小で描き分けたり、特定しない人物の非戦闘時の姿を描いたのがその特徴で、さらに「光線画」で培った光と影の表現もふんだんに用いられた。

Posted by ブクログ

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