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日野啓三(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2022/07/13
JAN 9784093524438

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商品レビュー

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2023/05/07

1995年の小説 近未来の日本、っていうか 今となっては現代日本のパラレルワールドが舞台である 月から帰った宇宙飛行士が なぜか記憶喪失になっていたという話 失われた記憶を取り戻すために 宇宙飛行士は軟禁されていた精神病棟を脱走し ホームレスになって 放棄された地下駐車場に住み着...

1995年の小説 近未来の日本、っていうか 今となっては現代日本のパラレルワールドが舞台である 月から帰った宇宙飛行士が なぜか記憶喪失になっていたという話 失われた記憶を取り戻すために 宇宙飛行士は軟禁されていた精神病棟を脱走し ホームレスになって 放棄された地下駐車場に住み着いて 記憶を取り戻した直後、彼を慕う女性看護師と再会する 日野啓三は「あの夕陽」で芥川賞をとってからずっと 夕景の赤い光に謎のこだわりを持ってきた しかしここでは 月面の太陽光が物語のカギである 空気のない場所には朝焼けも夕焼けもなく ただ完全な闇と光があるばかりで そのことが、彼の世界観を崩壊させたのである たかがそんなことで?と思うなかれ 感じ方は人それぞれである そしてその、極私的な感じの伝わらなさが 虚言的なホームレスの自慢話と対比されるとき 反冒険小説、あるいは反私小説として この物語は理解されるのだ しかしながらそこに生じる楽観的ニヒリズムは 類型的な物語構造に回収され 逆に「特権的な個人」の存在を賞揚するものへと成り果ててゆく

Posted by ブクログ

2022/08/06

初読み作家さん。月面基地での作業中に事故に遭った男は記憶を喪って帰還した。一体彼の身に何があったのか。ある時彼は入院していた精神病院を抜け出してあてどもなく東京を放浪する。喪った自分を探すように。様々な出会いを経て彼が見つけた光と闇――近未来を舞台に人が抱える陰陽を見事に描き出し...

初読み作家さん。月面基地での作業中に事故に遭った男は記憶を喪って帰還した。一体彼の身に何があったのか。ある時彼は入院していた精神病院を抜け出してあてどもなく東京を放浪する。喪った自分を探すように。様々な出会いを経て彼が見つけた光と闇――近未来を舞台に人が抱える陰陽を見事に描き出した傑作。どんなに文明や科学が発達しようとも、人は光と闇がなければ生きてはいかれないのだと強く思いました。闇は光であり、光から闇は生まれる――仄暗い序盤から物語は光が射す方へ。最後はとても感動的でした。

Posted by ブクログ

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