転生若草物語 ハルキ文庫

彩戸ゆめ(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川春樹事務所
• 発売年月日: 2022/06/27
• JAN: 9784758444989

商品レビュー

2023/03/05

元ネタ・原作を十二分に補完して読ませてくれます。

[Golden Pearl]

世界で最も愛される四姉妹の日常が“生まれ変わる”！
『若草物語』の四女エイミー・マーチは足を踏み外し湖に溺れていた。水上から漏れてくる光。そこで、ある記憶が思い起こされる。「私は、日本の女子高生だった！？」『若草物語』の微かな記憶を頼りに、エイミー（絵美）は三女ベスの死を回避すべく、また前世での無念を晴らすため、1860年代のアメリカで幸せを追い求める！（裏表紙より）

エイミーは足を踏み外したというより、湖でスケートをしていて氷が薄い場所を通ってしまったので、氷が割れて落ちてしまったのです。裏表紙のあらすじにしても作者が書くなり、チェックはするでしょうから、出版社のいい加減さや作者の安易さがうかがえます。転生にしても現世の絵美はどうなっているのか、魂が交わっただけで体は健在なのか、などは一切書かれていません。
しかしながら、作品自体はなかなかのものでした。当時の世相や風習、物品などを上手に取り込んでいますし、「若草物語」への敬意と愛情が感じられる深読みをしているからこそできた作品と思います。自身が富裕ではないのに、食費を削ってまで貧しい人たちに尽くす両親への批判は、まったくその通りと賛同できました。