鎌倉幕府の「謎」を歩く TJ MOOK

本郷和人(監修)

• 販売会社／発売会社: 宝島社
• 発売年月日: 2022/01/12
• JAN: 9784299024237

商品レビュー

2022/03/15

コロナ禍がうらめしい。通常ならこの本片手に鎌倉、伊豆あたりを歩いてみたい。

なぜ、源頼朝の流刑地に伊豆が選ばれたのか
なぜ、伊豆の弱小小勢力だった北条氏が執権になれたのか
なぜ、後鳥羽上皇に味方する御家人が少なかったのか
なぜ、モンゴル軍は日本攻略に乗り出し、負けたのか
なぜ、後醍醐天皇に新田義貞、足利尊氏ら御家人が味方したのか、

これら鎌倉幕府にまつわるさまざまな謎を追うとともに、往時をしのぶ史跡や寺社などゆかりの地を地図と写真で紹介。巻頭に本郷和人氏のインタビュー「執権北条氏の軌跡」。

特に行ってみたい所
伊豆では、
北条氏邸跡（円城寺跡）、石橋山古戦場、伊藤祐親館跡（物見塚公園）

鎌倉では、
大倉幕府跡（将軍が暮らし政治を執った初期幕府の御所）、鎌倉七口（七か所の切通し）、叡福寺跡（頼朝が戦死者の鎮魂のため建立）、源頼朝の墓（法華堂跡）、北條義時の墓（法華堂跡）、東勝寺跡（北條高時が自害した鎌倉幕府滅亡の地）、梶原太刀洗水（頼朝の命で上総介広常を討伐した梶原景時が、刀に着いた血を洗い流した。鎌倉五名水のひとつ）

メモ
伊豆配流の理由・・清盛の父の後妻・池禅尼が、池の若死にした子・家盛に頼朝が生き写しだ、として清盛に命乞いし、伊豆に池（平）家の所有する大荘園・大岡荘（沼津市）があり、池禅尼の目の届く伊豆に頼朝を置き、監督しようとした可能性が大きいという。

北条氏が執権になれたのは・・
北条氏の出自はよくわからない。その無名性が特徴。
13人の合議制の仕掛人は時政ではないか。頼家政権のままでは北条はジリ貧の未来しか見えず、変革するほかなかった。比企たちを説得し合議制にもちこむ政治手腕、調整能力は唸るしかない。その後、時政は実朝を廃し違う将軍を立てようとした”失策”をし、義時は父時政を追放。義時は北条氏の盤石のためには軍事力の必要性がわかっていた。亡き畠山重忠の武蔵武士団を取り込んでいたので、和田義盛を討てた。執権になると御家人の利益を第一にした政治をした。

後鳥羽上皇に味方する御家人が少なかったのは・・
西国の守護ら大半の在京武士は上皇に馳せ参じている。が、下々の武士は「（守護に）そんな義理は無い」と守護の参陣要請を拒否したから。西国では天下りのリーダー統治が不完全だった。一方東国では昔から馴染の顔役が「三浦さん」「小山さん」と一致団結した。

なぜ、モンゴル軍は日本攻略に乗り出し、負けたのか
時宗は、元の国書を放置したり、使者を斬ったり、最低限の外交ルールをわきまえない対応をした。まともな外交をしていれば元寇自体が無かった可能性も。

2022.2.12発行　図書館