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辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2020/10/21 |
JAN | 9784087441680 |
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辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦
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商品レビュー
3.9
20件のお客様レビュー
2024.08.11 本を読むことの楽しさを味わえる一冊。 文庫には追加されているものもあり、文庫のお得感も増している。 ケミストリーとはこういう感覚をいうのではなかろうか。楽しい一冊
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酒の肴として最高の対談本であった(と勝手に思っている)『世界の辺境とハードボイルド室町時代 』に引き続き、第2弾となる本作も相変わらず刺激に満ちた最高の読書会本だった。 辺境ノンフィクション作家と日本中世史研究者が化学反応を起こすと、こんなにも面白くなるのか。 「最強のふたり...
酒の肴として最高の対談本であった(と勝手に思っている)『世界の辺境とハードボイルド室町時代 』に引き続き、第2弾となる本作も相変わらず刺激に満ちた最高の読書会本だった。 辺境ノンフィクション作家と日本中世史研究者が化学反応を起こすと、こんなにも面白くなるのか。 「最強のふたり」とはこの著者たちのためにある言葉だ(と勝手に思っている)。 とにかく選本のセンスが抜群すぎる。 特に1冊目に紹介されるジェームズ・スコット著『ゾミア』では、定住型国家から逃げた人たちの「戦略的な原始性」を主軸に論説されるが、これは昨今話題になったデヴィッド・グレーバー他著『万物の黎明』に通ずる反近代国家の視点として非常に重要な概念だ(と勝手に思っている)。 狩猟採集民、遊牧民、倭国、アイヌといった、大味のグローバルヒストリーからこぼれ落ちる【辺境】にこそ、国家を超えた広大でリアルな世界があるのだと思い知らされる。 ーーーーーーー一以下、抜書きーーーーーーーー . ゾミアの人々は、国家の介入を避けるためにリーダーをわざとつくらなかったという話も出てきましたよね。従来は、未開な段階では原始共産制が残っているから、突出したリーダーは出てこない、人々の集団が組織化するにつれてリーダーが自然発生的に現れ、権力関係が生まれてくる、というふうに理解されていたけど。 . 強大な権力の支配から逃れるために、あえて「窓口」をつくらない、というのは支配される側の一種の知恵ですね。あと、文字をもたないのもゾミアの知恵であり戦略だったとありますよね。昔は文字を使っていたけど、平地から逃げていくときに捨てたという話が複数の民族の伝承として残っているという。 . 『ゾミア』を読んで考えさせられたのは、「結局、文明とは誰のものなのか」というテーマですね。すべての人が文明に憧れていたかっていうと、そんなことはなくて、ゾミアの人たちはそんなに文明を必要としていなかった。むしろ文明でメリットを得てきたのは国家の側だったんだっていうことを学びました。 . もともと銭というものは、どうも辺境にたまる傾向があるみたいなんですよ。鎌倉時代の大山荘(現在の兵庫県篠山市)という荘園の研究で明らかになっているんですけど、荘園の中で銭が普及していくのは、平地エリアより山間部エリアのほうが先なんです。 . で、辺境の人間であることが逆にプライドになっているところが、秀吉なんかにはあるじゃないですか。明のことを「長袖国」、長袖を着た貴族や坊主の国と呼んで、自分たちは「弓箭きびしき国」だという自意識をもってて。これって「勉強できないけど、スポーツは得意だぜ」みたいなことですよね。 . 江戸時代になると、武士は支配階層になってサラリーマン化しますよね。統治者としての教養や倫理も身につけていく。だけど、そうすると、戦士としての侠気を示すことができなくなっていく。そのこぼれた部分を担ったのがヤクザだっていうのが氏家説です。つまり、折り目正しい武士の誕生とヤクザの誕生はパラレルなんですよ。 . ただ僕ら、文字から歴史を読み解く場合は、書かれていることがすべて事実だとは考えないんですよね。人はうそをつく生き物だし、何らかの自己主張のために文章を書き残している。だから、あえて書かれていることの裏側を読むとか、主張の背景を探るといった、少しねじくれた、意地の悪い読み方をする傾向があります。古文書を読む研究者の中でも優れた研究者は、むしろ「書かれていないこと」を読むことにエネルギーを注ぐ。 . 「ここではない何処か」を時間(歴史)と空間(旅もしくは辺境)という二つの軸で追求していくことは「ここが今どこなのか」を把握するために最も有力な手段なのだ。その体系的な知識と方法論を人は教養と呼ぶのではなかろうか。 もちろん、日常のルーティンにおいて、そんなことはほぼどうでもいい。だから往々にして教養は「役に立たない空疎な知識」として退けられ、いまやその傾向はますます強まっている。 . でも、個人や集団や国家が何かを決断するとき、自分たちの現在位置を知らずしてどうやって方向性を見定めることができるだろう。その最も頼りになる羅針盤(現代風にいえば GPS機能)が旅と歴史であり、すなわち「教養」なのだと初めて肌身で感じたのだ。同時に五十歳を過ぎてそんな初歩的なことに気づくようだから、私の人生は迷走の繰り返しだったのだと腑に落ちた。でも重要な決断は人生あるいはその集団や国家が終わるまで必要とされるのであり、教養を学ぶのに遅すぎることはないとも思うのである。
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この本、読んでるとすごく面白く、紹介している本のテーマに興味がなかったものでも一回読んでみようかなという気にさせるのはやはりこの二人がすごいのだろうな。 でも、この二人のように博覧強記ではないので、やはり、この本を読んで自分が感じたような思いを持てるようには読めないのだろう。 も...
この本、読んでるとすごく面白く、紹介している本のテーマに興味がなかったものでも一回読んでみようかなという気にさせるのはやはりこの二人がすごいのだろうな。 でも、この二人のように博覧強記ではないので、やはり、この本を読んで自分が感じたような思いを持てるようには読めないのだろう。 もちろん同じような感想だったり何か思いを得なくたって良いとは思うのだけれど、こういう書評を読んで読んでみた本は大抵、書評で目にしてからかなり時間が経ってしまうことも多いためか、なんでこの本読んでみようと思ったのかなということになってしまい、最後まで読み通すのが苦痛になってしまうことが多い。 でも、そういう経験を経ても、この本で紹介している本は、読んでみたいと思っている。この本自体もなんだかんだ面白かったしな。 さて、何から読もうかな…
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