「ジンジャーとピクルズや」のおはなし 新装版改版 ピーターラビットの絵本

ビアトリクス・ポター(著者), いしいももこ(訳者)

• 販売会社／発売会社: 福音館書店
• 発売年月日: 2019/11/01
• JAN: 9784834084917

商品レビュー

2024/04/06

ベアトリクス・ポターの「ジンジャーとピクルズや」のおはなし、この本に秘められた多くの教訓と魅力について紹介します。語ります。これは、愛すべきキャラクター、ジンジャーとピクルズが営む雑貨屋の物語であり、そこには矛盾と人間性が詰まっています。

ベアトリクス・ポターの「ジンジャーとピクルズや」のおはなし、この本に秘められた教訓と魅力について紹介します。

物語は、小さな村で雑貨屋を営む猫のジンジャーとテリア犬のピクルズが、店の経営に苦労する様子から始まります。実は、二人のお店の繁盛ぶりは、隣町のタビタ奥さんの店を遥かに凌ぐほど。それでも収益は全く増えません。なぜなら彼らが採用した取引方法が「掛売り」だからです。

これによって、彼らの経済状況はますます厳しくなり、雑貨屋の閉店を防ぐため、ジンジャーとピクルズは奮闘することになります。それは掛売りの代金を回収しようとするシーンで最高潮に達します。しかしそれが逆に税金支払いの通知を生む事態に繋がり、最終的にお店は閉店せざるを得なくなる...これこそが、ポターが我々に問いかける現実です。

私は、この物語が示すテーマは、「先延ばしの危険性」だと思いました。ジンジャーとピクルズは掛売りで商品を提供し続けることで即時の支払いを避けていました。しかし、その結果として財政危機が訪れ、最終的にはお店を失う結果となります。このエピソードは、責任を先延ばしにすることの潜在的なリスクを強調しています。「掛売り」システムは一見便利そうに見えますが、それがもたらす結果は往々にして思わぬ方向へと進みます。作者のポターは、個人の行動がたとえ善意であってもコミュニティ全体に影響を及ぼすことの重要性を伝えたかったのかもしれません。

また、本書は人間関係やコミュニティの大切さを描いています。ジンジャーとピクルズが経営する雑貨屋は村のコミュニティの一部であり、彼ら自身もコミュニティの一員でした。しかし、彼らのビジネス戦略はコミュニティ全体に影響を及ぼしました。これは一人一人が社会全体に与える影響力の大きさを示しているように思います。

総評として、「ジンジャーとピクルズや」のおはなしは、ビジネスと倫理の独特な組み合わせを描き出した深い教訓を持った物語となっています。本書を読んで、私は、自分の行動が他の人々に及ぼす影響を理解し、それに基づいて行動する必要があるのだとあらためて感じました。

2023/06/16

猫のジンジャーと猟犬のピクルズの雑貨屋は大繁盛。
品物は飛ぶようにうれました。
それはタビタおくさんのお店の10倍の売り上げ。
でもちっとも儲からない。
それはこのお店がいくらでもカケで売るから。
誰もがツケで品物を買って行き、お金を払わないのです。
みんなに請求書を送りますが、回収する前に税金の通知が。
とうとう店を閉めることに。
タビタおくさんはすぐさますべての商品を10円値上げ。
その後めんどりのヘニー・ペーニーが雑貨屋を開店。
ここではすべて現金払い。
たくさんの見切り品を売る、ディスカウントショップです。

全編商売のおはなし。
カケでものを買うことなど、子どもに読むには説明がかなり必要ですが、ちょっと経済のことに興味を持ってもらうのもいいのかも。

2022/04/16

猫のジンジャーと猟犬ピクルスの雑貨屋は掛け売りで人気ですが、一銭も売り上げが徴収できず税務署の請求を見て店をたたみます。居抜きで入っためんどりへニー・ペニーが雑貨屋を再開。掛け売りせず、見切り品を大安売りしてみんなから喜ばれます。フードロス、ゼロエミッションなど今日的な課題に通じるストーリーでした。