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賤民と差別の起源 イチからエタへ
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賤民と差別の起源 イチからエタへ

筒井功(著者)

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賤民と差別の起源 イチからエタへ

定価 ¥2,200

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2018/06/26
JAN 9784309227344

賤民と差別の起源

¥1,540

商品レビュー

4.5

2件のお客様レビュー

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2023/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エタの語源はイチであるーーこのフレーズを読んだ時、突拍子のないことを言う著者だなと思った。しかし読み進めるごとに深く頷いてしまう自分がいた。 近現代の被差別部落研究は、研究者のイデオロギーの混在でいまいち理解が難しい。そして自分が子供時代に習った江戸時代の「士農工商エタ非人」が起源であるというのは全くの間違いであるというのはもはや定説だ(少なくとも20年くらい前まではまだ学校でそう教えていたのに)。習った時もえらく唐突だなと思ったものだが、何故差別されるようになったのか、そもそもを知りたくなった。 賤民についてのいくつかの本を読んでいくうちに、エタ・非人だけではない様々な賤視される職能民がいたことを知った。江戸浅草に居を構えていたエタ頭弾左衛門が、配下に組み入れようと幕府に訴え出た「二八座の下り職」にはおおよそ一括りにできない職が並んでいる。ずっと「なぜ」が頭から離れなかった。 著者はこれらの職能民に共通するのは呪的能力とし、その元はイチと呼ばれた、古来栄華を誇っていたが没落していった下級宗教者であると論ずる(現在にも残るイタコやイチコ、ユタなどもこの系譜とのこと)。 古代から人間は手に負えぬ自然(山・川・海・火など)を神格化した。その神と民が直接交わらぬよう据え置かれた者達、神の領域に足を踏み入れる者達がイチであり、元々は畏敬の対象だった。雨乞いや病気治癒など成功すると尊敬され、失敗すると厳罰が待つ、両義的存在だったという。時代が進み、天災や病気は神のせいでもなんでもないことに人々が気づきはじめ、イチは零落していく。これが差別の始まりである、との主張には頷ける。 驚くべきことに、こういった考え方はヨーロッパ諸国にもあったらしい。大きな火を扱う者、水を扱う者は普通のものではないと。 要するに人は神の領域、統治の及ばない所で仕事をする人並外れた能力を持った者を賤視してきたということだ。 ちょっと無理筋の部分もあったが、おおむね感心しながら読ませてもらった。今までの研究者の考えをまとめ、著者なりの共通点を見出していて、とても勉強になった。 知れば知るほど、差別がいかに根拠のないものであるかとつくづく思う。 科学や合理性が人類の共通認識になった現代日本では、人間がコントロールできる領域は増え、生活に根付いた畏れるべき神はもはやいない。かつての神の領域での仕事を蔑む謂れもない(そして特別視も要さない)。 しかしこれらの職業は皆の生活を豊かにするものであり、日本らしい深みのある世界観には不可欠のようにも思う。また、自分にできないことを易々とする人間を裏で忌み嫌う感情は、中々無くせるものでもないのかもしれない。恩恵だけ受けて蔑む、いわば搾取や強奪を、いわゆる「良民」は長らくやってきたのだ。 根源的な要因(といってもそれらも民の傲慢からくるものだが)はもはやなくなったのだから、何とか賤視だけをなくせる世になってほしい。 同和教育をするのなら、中世からの賤民の歴史を教えてもらいたい。知ればきっと、差別に正当な理由などないことがよくわかるだろうから。 個人的に興味深かったのは、中世より盲人たちの「当道」なる治外法権的な職能団体があったということ。江戸時代には幕府の権力も及ばず、犯罪行為があり、それが重罪であっても、内部で裁判・処刑を行なっていたらしい。また盲人はイチ名といって、規則的にイチをつけて名乗ることも多かったそうだ。座頭市は、座頭のイチ。かつてそう呼ばれた侠客がモデルとのこと。この辺りの記述は滋味深く、魅力を感じてしまう。

Posted by ブクログ

2022/12/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

筒井功さんの著作も3冊目。著者の持論や差別の起源を探求する情熱など、3冊読むことで通底するものを掴んだように思う。 そして、これを読んだ三津田信三さんの作品の、あの場面に使われたのだろう…と世界観をより深めることもできた。その人たちでなければできない呪術的行為、それと隣り合わせで恐れられつつも差別されてきた立ち位置…とか。 蓑つくりが差別されていたとは、そして蓑は呪術的道具であったとは。猿も馬を守護する役割があってそれが猿回しになっていったとは。 イチ、ユタ、エタ は同じ流れをくむ言葉であるとは。

Posted by ブクログ

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