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子育てのパラドックス 「親になること」は人生をどう変えるのか
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 英治出版 |
発売年月日 | 2015/12/01 |
JAN | 9784862762092 |
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
子供が生まれると親の幸福度が減る、夫婦関係が悪くなる、子供と一緒にいるより皿洗いをしていた方がいい…等、しっかりと子育てをすることが求められる昨今では言葉にすることが憚られるような生々しい事実が書かれている。が、一方で子育ての理想と現実の合間で苦しんでいるのは自分だけではないと救...
子供が生まれると親の幸福度が減る、夫婦関係が悪くなる、子供と一緒にいるより皿洗いをしていた方がいい…等、しっかりと子育てをすることが求められる昨今では言葉にすることが憚られるような生々しい事実が書かれている。が、一方で子育ての理想と現実の合間で苦しんでいるのは自分だけではないと救われる気もした。 「経験する自己」と「記憶する自己」は全く異なり私たちの物語は「記憶する自己」に寄って成り立っている。現実は喜ばしいことばかりではないが、追想の中で過去の出来事は暖かな色味を帯びる、ということは心から納得した。 また改めて読み返したい。 ・家庭生活にはフロー(目の前の作業に没入した状態)が生じる活動が少ない。感情のタスクの切り替えが必要となり、満足感を得られないばかりか、なにかをないがしろにしなくてはいけない罪悪感が生じる。 ・ライフスタイルの選択が強制され、人生のなかで人々は何度も選ばなくてはいかない。結果として自分の人生にずっと自己評価をし続けなければいけない。 ・夫婦が争うときは大概、感謝の授受について争っている。 ・夫が家事をしている姿を見ることで妻のストレスレベルが下がる。 ・子供の世話は家事より遥かにストレスを生むので、ここで生じる不公平感は結婚生活の幸福度に大きく影響する。 ・幼児の母親は3分に一回、子供の行動を正す。幼児は60%しかいうことを聞かない。 ・「お金があるとき、妻は自分のものを買うことに罪悪感を覚える。だけど、子供のものならいいんだよ。時間についても同じことだと思う。」 ・子育てに関する世間の重荷を背負わず、仕事への関わりかたから世間から批判されることもなく、子育てについて過度に厳しくなることもなく、完全主義の苦悩を持ち込むこともなく自分を評価している夫から学ぶことは多い。 ・移り変わりが激しい現代では、自分自身が子供の指針にはなれない。その結果、子供のためとなると流行りやブームを手当たり次第試そうとする。 ・女性がプレッシャーを感じるポイントが一点の曇りもない家庭を維持することから、非の打ち所もない母親であることに移った。仕事を選ぶにも家庭を選ぶにも、答えを正当化するために子供が使われる。 ・私たちは子供のなかに必ず自分自身を見る。だからパートナーへの子供のへの態度を見るとそれが自分への態度のように感じる。 ・思春期になると親の後悔は様々な形で現れる。自分自身への疑問の形や、育児そのもの(どんな風に子供を育ててきたか)など。 ・子供を幸せにすることが親の義務だと考えてはいけない。幸せとはあくまでも行為の副産物である。 ・その場からほんの一瞬でも引いてみることができたら、現実を素晴らしいことだと思える。 ・子育てて満足感を感じる瞬間の共通点は「受動的であること」。特に何をするわけでもなく、子供の蟻のままを楽しむこと。
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※このレビューにはネタバレを含みます
妊娠、出産、初めての育児のスタート、と怒涛のように過ぎていったここ1年、今、少し立ち止まって、子どもがいる今の生活を見つめ直そうと思って手に取った本。ただ何となく子どもを産み、ただ何となく育て、何となくともに生きていく、そういう「ただ何となく」という状態は避けたい。流されるように子育てをするのではなく、子どもがいるからこその大きな体験ができていることを噛みしめて生きていこう、と思った。 ・現代人はつきつめればどこまでも自由に生きることができる。どこでどんな仕事をするか、結婚をするかしないか、子どもをつくるかつくらないか、どこに住むか。そんな中で子どもは唯一、人生に制約を与える。制約のない人生が幸せとは限らない。自由だから幸せ、というわけでもない。むしろ、制約があるから、ある種の熱意をもって生きられるのかもしれない。 ・母親は世間からの「良い母親像」というプレッシャーにさらされている。一方、父親はそういうプレッシャーから自由である。母親は「ママとしてこうでなければならない」という「べき」に縛られ続けて疲れてしまう傾向にある。 ・自分のことをこれほどまでに無条件に愛し、必要とするのは子どもをおいてほかにいない。他の誰にもこれほどまでに愛されることはない。この愛を経験できるのは親であるからこそ。 ・同時に愛を与えられるかどうかも試されている。反抗し世話をかけられ、裏切られるかもしれない相手をそれでも愛することができるか。もはや聖者の領域だが、子どもは親が人間として最良になれるチャンスを与える。 ・先のことを考えない子どもの、独特な自由に流れる時間にともに身をまかせてみることは、子どもがいないとできないことである。 ・「空はなぜ青いの?」というような問いかけに何度も遭遇する。大人にとってあたりまえのことが、子どもにとってはあたりまえではない。そういう問いかけを通して常識を疑う機会を与えられる。子どもが発した質問は全て書き留めておきたいほどに。 ・親の自分たちが置かれている経済的社会的地位から子どもを落としたくない、何としてでも今の水準をキープするかそれよりも上を目指すために、スポーツや音楽などの習い事で子どものスケジュールを埋める。子どもが将来苦労しないように、現代の親はそういう強迫観念に縛られている。 ・懸命に子どもを育てても、いずれ子どもは巣立ち、親離れをしていく。それが子育てのパラドックス。では子育てをすることに意義はあるのか?子育ての最中は苦しくて大変だけど、振り返ったとき、あんなこともあったこんなこともあったと思い出に浸る。昨日、できなかったことが今日できるようになるという子どもの成長、想像以上に子どもが親を超えるところを見ること、それが子育ての喜びなのかもしれない。
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