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においのカゴ 石井桃子創作集
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2014/11/20 |
JAN | 9784309023380 |
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においのカゴ
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商品レビュー
3.6
6件のお客様レビュー
色紙を畳んでかわいらしい形に切りぬいて広げたような、幼稚園の装飾のようなかわいらしくあたたかい表紙と、数々の児童文学の翻訳で知られる石井桃子さんの創作集!?ということにひかれて手に取った。 最初はちょっと読みにくいくらいひらがなばかりの児童向けの作品が、徐々に漢字も増え大人びて...
色紙を畳んでかわいらしい形に切りぬいて広げたような、幼稚園の装飾のようなかわいらしくあたたかい表紙と、数々の児童文学の翻訳で知られる石井桃子さんの創作集!?ということにひかれて手に取った。 最初はちょっと読みにくいくらいひらがなばかりの児童向けの作品が、徐々に漢字も増え大人びていくのが、読んでいくうちにこの本と一緒に成長しているようで面白かった。 あとは、やはりどのお話も書かれたのが1950年代〜1960年なので、基本的に戦後の日常がやさしいお話の中にひょこっと出てきて、そのたびにどきりとした。別に戦争のことをクローズアップしているわけじゃない。書かれた当時は、これが読み手である当時の子どもたちの日常で、当たり前なんだな。 改めて、時代によっておはなしの在り方は変わると認識させられた。 しかし、現代にも通用するおはなしも多々あり、おはなしの普遍性も同時に認識させられた。 さて、もちろん各おはなしも面白い。 最初の「さんちゃんとバス」からして、子どもの無邪気さとかわいらしさとあたたかさを感じられる、ついつい子どもたちに読み聞かせしたくなるおはなしだ。 田舎のでこぼこ道を走るぼろバスが愛おしいさんちゃんと、物語の終わり方に思わず笑みがこぼれてしまう。 基本あたたかいのだけど、「まずはたのしいお年こし」のように、あたたかいけど不思議なお話も収録されている。 「まり子ちゃんとおともだち」はぜひ現代の大人たちにも読んでほしい。 表題作の「においのカゴ」はとても印象深く、沁み入る。 入院しなければならないような病気になったお母さん。でもお母さんは家にいる家族(お父さん、小学生の息子娘)のことが心配で、治っていないのに退院して帰ってきてしまいます。 しかし誰も家事ができません。様子を見にきたおばさん(お母さんのお姉さん)は「どうしたの、この家の人は!」と怒ります。 お母さんには「あんたの教育方針がまちがってるのよ!」と怒ります。が、子どもたちが驚いたのはお母さんの発言の方でした。 「そうなの。私もこんどこそ、わかった。…だって、人間いつ死ぬかわからないのに、こんなに何もできない人たちのこしていくんじゃ…」 お母さんや家族の誰か1人に頼りきりなお家の人は、なかなか突き刺さる言葉じゃないでしょうか。 しかしこのお話もあたたかく終わります。 まさに「においのカゴ」というタイトル秀逸と思わせてくれるお話です。 「心臓に書かれた文字」はなかなか大人向けのお話に感じました。お話の肝とは異なりますが、当時の綺麗な話し言葉にほぅとなります。 半分くらいのお話で、子どもが(おそらく?)東北弁を喋ってる描写があるので、石井さんも東北出身なのかと思いきや埼玉浦和のご出身とのこと。 そこもまた面白いなぁと思いました。 以下備忘録がてら各話タイトル さんちゃんとバス ある山のかげで まずはたのしいお年こし 見えない、小さいお友だち まり子ちゃんとおともだち ようちゃんともぐら 草ぼうぼうの原っぱ 暑い日 セミとり ガツねえちゃん きのことり においのカゴ トンカツわんわん 秘密 ハツコマ山登山 春のあらし 心臓に書かれた文字 東京駅のネズミ
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この作品は、111108さんのレビューで興味を持ち、出会うことができました。ありがとうございます。 図書館で借りたのですが、まず、装丁の素敵なデザインと、単行本にしては、コンパクトな可愛らしさが気に入りました。 中身の作品たちは好みはあれど、東北弁が多いせいか、私の生まれ故郷...
この作品は、111108さんのレビューで興味を持ち、出会うことができました。ありがとうございます。 図書館で借りたのですが、まず、装丁の素敵なデザインと、単行本にしては、コンパクトな可愛らしさが気に入りました。 中身の作品たちは好みはあれど、東北弁が多いせいか、私の生まれ故郷を思い起こさせる、ほんわかした田舎の素朴な物語が印象的で、懐かしい気持ちと温かい気持ちが同居するような、楽しい時間を過ごせました。 また、作者が児童文学作家ということで、子どもの内面に寄り添った描写の上手さを感じました。 それは、「さんちゃんとバス」での、さんちゃんの引退間近のバスに対する優しさや、「ある山のかげで」の、マサちゃんの涙をこぼさんばかりの猫への愛情や、「草ぼうぼうの原っぱ」での、母親と共感できるクマちゃんのさり気ない気遣いなど、読んでいる私には丁寧な言葉遣いと相まって、嬉しい気持ちになりました。 また、昔の一家団欒によくある、喜怒哀楽の分かりやすい人間関係の良さも、改めて認識させられ、「まずはたのしいお年こし」の、思いきり泣き笑いしてからの、さっぱりした終わり方や、「トンカツわんわん」での、おばあさんを嫌っていた二郎が、愛嬌のあるひと言で、たちまち好きに変わったりと、こういう爽やかさのある家族の話もまた、心が温かくなりますね。 更には、児童文学というよりは大人が対象なのではと思う、「心臓に書かれた文字」と「東京駅のネズミ」は、また違った印象を残してくれました。 前者は、女性同士の関係に男が絡む状況で、その感情の遣り取りに人間の良さも悪さも感じながらも、爽やかさを感じるところに凄さを感じ、後者は、男女の愛のかけがえのない大切さを逆に実感させられた、切ない物語です。 全体的に、懐かしい温かさがすごく心地良くて、年齢を重ねた今だからこそ、手元に置いておきたくなりました。買います。
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装丁が可愛かったので手に取った。東京駅のネズミや春のあらしなど、児童文学に収まらないハッとするほど細やかな情緒が描かれた作品もあって、すごく良かった。
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