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中世の罪と罰
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
発売年月日 | 1983/11/15 |
JAN | 9784130230308 |
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中世の罪と罰
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商品レビュー
4
3件のお客様レビュー
2012.10記。 例えば、日本の中世において、例えば盗みを働いた犯人の家を焼き払う、という措置が取られることがあった。これが「罰則」なのか、盗みという縁起の悪いことが起こった原因を清める一種の「お祓い」なのか、これは中世の文献を読んでいくと意外と分からない問題の一つだという。...
2012.10記。 例えば、日本の中世において、例えば盗みを働いた犯人の家を焼き払う、という措置が取られることがあった。これが「罰則」なのか、盗みという縁起の悪いことが起こった原因を清める一種の「お祓い」なのか、これは中世の文献を読んでいくと意外と分からない問題の一つだという。 「中世の罪と罰」と題された本書は、以前にも触れた網野善彦氏をはじめ著名な学者4人の論文集・対談のパッケージとなっている。マニアックすぎて素人には退屈なパートもあるが、高校の授業で丸暗記したような用語の裏側に如何に根源的な問題が色々潜んでいるかを垣間見せてくれる。しかもこうした問題は(少なくとも本書の発行された1983年においては)学問的に未解決のままなのだ。歴史学にはまだわからないことが山のようにあるのだ。これは実は相当にエキサイティングなことなのではないだろうか。 話はズレるが、法と裁き、という観点では、西欧中世で行われていたという「動物裁判」も興味深い。当時、西欧の教会・領主たちは、大量発生したイナゴを「破門」したり、人間を突き殺した牛に「有罪判決」を下したりしたという。自然界を自らが考える「秩序」に必死で位置づけようとする当時の西欧人の営みが興味深いではないか。 そういえば、アフリカの小説家、アチェベの作品(「失われた絆」)にも、「盗みの罰として家を焼く」シーンが出てくるんだよな・・・
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1983年刊。たまたま立ち寄った古書店で、背表紙に「網野善彦」「中世」「罪と罰」の書かれた本書を見つけ、思わず購入。本書の内容とは関係ないが、学生の時、頼朝とか北条氏とか著名な人物を描かず、ひたすら市井の人々の有様を叙述しようとしていた網野氏に惹かれたことを思い出す。本書は網野氏を含む4名の中世史の専門家が、罪・罰(もちろん現代的意味とはズレるが)をキーに、種々の文書を用いて、中世民衆の相互関係を明らかにしようとするもの。天皇制如何などといった大上段に構えていない書なので、個人的には好きな書である。 1 「母開(バカ?)」との悪口は母子相姦を連想させ、処罰対象(笠松宏至)。2 犯罪は「穢れ」発生を意味し、犯人の住宅の焼却は、「祓い(災気の除去・正常への回復)」の趣旨(勝俣鎮夫)。3 耳鼻削ぎ刑は詐欺罪・妖言の罪に適用、「天罰付与」「非人化」「異形化」の側面(勝俣)。4 死骸に呪術的霊力あるとの価値付与の一方、死骸損壊に意味を付しうる(例 斬首後の首曝しは死骸の恥をさらす意味、斬首は絞首より重刑)(勝俣)。5 過密都市鎌倉は「骸骨路に充てり、乞客あふれ、牛馬巷にたおれ」とある立正安国論(日蓮)に生々しい 6 モノ(特に身につけた衣服や下され物)にはこめられた「たましい」があり、非代替物とされ、窃盗は重刑化(笠松)、7 夜は、平和維持の観点から移動を厳禁する等、昼とは異なる規範に属し、夜討ちは厳罰(笠松)。8 巫女とも対比される博打は、賽により神意を得る者である一方、悪党とも不可分で、一部英雄視された時期もある(網野)。9 出挙・利践は、納税・貸借・交易という多面的意義付けが可能(網野)。10 曳文は所従被官→奴隷化であるが、金員債務不履行による奴隷化でもある(石井)。
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学生時代に読了。当時流行した社会史的観点を中心に据え、中世の法を題材に、様々な事象についてその罪と罰の観念について論じた連載集。 執筆者は「四人組」と言われたという網野善彦、石井進、笠松宏至、勝俣鎮夫の錚々たる顔ぶれである。 個々の出来事に由来する中世法とともに社会ルールの根底が...
学生時代に読了。当時流行した社会史的観点を中心に据え、中世の法を題材に、様々な事象についてその罪と罰の観念について論じた連載集。 執筆者は「四人組」と言われたという網野善彦、石井進、笠松宏至、勝俣鎮夫の錚々たる顔ぶれである。 個々の出来事に由来する中世法とともに社会ルールの根底が理解でき、なかなか興味深かったと記憶している。最後の座談会も面白い。 時代劇ドラマなどでの焼き討ちシーンなどでは、これの意味の奥には・・・などと訳知り顔で得心したものでした。(苦笑) 表紙は、「平治物語絵詞」の信西獄門の図でこれもなかなか印象深い装丁となっている。
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