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2014/03/30

ちょっとしたオンナへの開花が招いた蟻地獄

少なくとも単行本としては2009年の『私、Hな気分です』(MDコミックス)以来となるようだが、この間に電子コミックで活動が続けられており、中には単行本化される前に実写でDVD化された作品もあるという異色の経歴の持つ作者と言えるだろう。そんな中で現在も電子コミックで人気を博すシリー...

少なくとも単行本としては2009年の『私、Hな気分です』(MDコミックス)以来となるようだが、この間に電子コミックで活動が続けられており、中には単行本化される前に実写でDVD化された作品もあるという異色の経歴の持つ作者と言えるだろう。そんな中で現在も電子コミックで人気を博すシリーズが満を持して(?)単行本化された。それが本作である。ただし、全14話+外伝で完結が予定されている中で本作では8話を収録するのみである。 【春香】未亡人なのか夫がいるのかも不明、年齢も不明なメインヒロイン。 【千鶴】第二話から登場する謎の美熟女。 他に春香の知人、というか以前近所に住んでいた熟女が第5話から登場するが名前は出てこない。 【静也】春香の息子。気弱で純朴な少年。 【桐野】静也のクラスメイト。春香のオンナを開花させながら、実は……。 【石山】桐野の悪友。 【司】 桐野の友人にして静也とも接点のある心優しい少年。 少年達は制服こそ着ているものの学年は不明(ショタ風味があるから中学生?)。 設定として似ているのは、あの『たとえば母が』(著:艶々、アクションコミックス)辺りだろうか。ただ、本作ではまだ母子相姦のテイストは無く、春香が「母」として忘れかけていた「女」を再び開花させる面が強調されている。そして、作風としては『盗まれた美母(ママ)』(著:鬼頭龍一)や『熟母輪姦』(著:夏島彩、どちらもフランス書院文庫)といった官能小説の前半で見られた、息子の友人に脅され、迫られ、貫かれる母の流れを基本としている。ほんの些細なきっかけから当初は良くも悪くも大人の女が少年をちょっと誘惑した結果、それは逆に(少年が用意した)とんでもなく淫靡な蟻地獄への陥落だったという、なかなかえげつないながらもハマる読み手なら確実にツボる展開でもあろう。 官能描写を前面に出してから状況説明を後に行う手法が各話で多用される中、時には突然出てきて「誰?」という感じになったり、訳が分からぬまま話が別の方向から進んだりで、初見では全体を把握するのが少し難しい面もある。一見すると容姿が春香に良く似た千鶴などは最初「あれ?春香さん?急に豹変した?」と第2話冒頭で思ってしまうかもしれない。何より「春香」の名前が出てくるのは次の第3話である。息子の静也にしても、よくよく注意して見ていかないと何故に熟女の相手をさせられているのか分かりにくいし、そもそも名字だけや名前だけで出てくる登場人物に識別性としての統一感が欠けている。要するに、作品の全体像を読み手に掴ませるための情報の出し方には稚拙な部分があると言わねばなるまい。 しかし、それを補って余りある官能面の圧倒的な凄味がある。 スラッとしていた女体が次の場面では急に肉惑的に描かれていたり、そのデフォルメが過ぎてしまったのか、少年とのバランスが少々よろしくないような場面もあるのだが、それらさえも瑣末に感じさせる淫靡で動きがあって興奮度の高い官能描写が随所にある。描写自体が発展途上と言えばそれまでだが、それだけ伸びしろを感じさせるセンスは充分にあると断然したい。この母子の行方にハラハラドキドキしながら次巻を待ちたいと思う。 ただ、続きがあることが明白ながらタイトルに『第1巻』や『前編』といった文言が無いのは少しいただけない。本作次第で次巻を検討との思惑もあるのだろうが、少なくとも作者のキャリアとして残るのだから、その育成という観点からも編集側には本作の完遂を切に望むものである。

DSK

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