越後村上氏二代 村上周防守 丹羽長秀に仕え、豊臣秀吉に見出され越後村上城主となった村上義清の子孫

志村平治【著】

• 販売会社／発売会社: 歴研
• 発売年月日: 2012/02/01
• JAN: 9784903991702

商品レビュー

2012/09/21

丹羽長秀に仕え、豊臣秀吉に見出され、越後村上城主となった村上美清の子孫。

うーんシブイ内容である。あまりの渋さにこの本を一体誰が買うのだろうかと
マーケティングの方が心配になってしまう。（まあ私は買いましたが）
越後村上氏は江戸初期に潰れたためご当地でもなじみがあるように思えない。

村上義明は、信濃の武将村上義清の孫に当たるという。川中島の戦いで父義利が
戦死した後、尾張に落ち延び丹羽長秀に仕えたという。次第に立身出世を果たし、
加賀の小松城主となる。丹羽家減封後は秀吉に仕えるが、堀氏の与力して越後村
上城主となる。
村上国清は、山浦家を継いでいたはずなのに、なぜ村上家の嫡流として越後に残
らなかったのであろうか気になるところである。
本書を読むと、関ヶ原前後の越後の動向がわかるのが嬉しい。（上杉遺民一揆など）
大名の転封にあたって年貢は、その半分を徴収し半分は残すこととされており、
上杉家と堀家・溝口家・村上家との間に、協定が結ばれていたにもかかわらず、上
杉家が年貢を会津へ持ち去ったとしている。本書を読むと直江兼続もなかなかの悪
人であることがわかる。協定を破ったことが、堀氏を怒らせ上杉征伐を招くことと
なった。堀氏の讒言が上杉征伐、ひいては関ヶ原の戦いを招いたにもかかわらず、
堀氏らは日和見を続ける。（徳川方に付いたにもかかわらず、西軍にも接触していた。）
義明死後、忠勝が継ぐが、村上氏は家中の対立により改易されることになる。村上
家も、当主は若年であり家臣の勢力が強いというありがちな条件であったが、家中を
上手く纏める事が出来なかったことがわかる。

丁寧な内容であり、著者のブレない仕事ぶりには頭がさがる思いがする。少しでも
興味がある方は、買って損はしないのではないか。次回作にも期待したい。