乾いた屍体は蛆も湧かない 講談社ノベルス

詠坂雄二【著】

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2010/12/06
• JAN: 9784061827608

商品レビュー

2024/08/24

「さーねー、人を殺すような人も、殺されるような人も、どうせリア充でしょうから」

これは、泣ける。
電車で読んでいて、終盤、涙が出てしまい、抑えるのが大変だった。

何だろう、基本はミステリーなので、説明するとネタバレになるのであんまり言えないけど、押し殺してきた自分の中にあるいろんな気持ちを、本当はもっと大切にして生きていかないと、死んでいるのと同じなんじゃないのかな、と考えてしまう作品。

まったくノーマークだった暇潰しの作品だったけど、めちゃくちゃ面白かった。

2014/06/05

罰ゲームみたいな人生。
大逆転の一手は……屍体探し!?
人を殺すような人も、殺されるような人も、どうせリア充なんだろ。

夢をあきらめ、死んだように生きる僕と、似たような仲間たち。
4人組は映画を撮ろうと立ち寄った廃墟で屍体を見つけてしまう。
ところが数日でその屍体は消えてしまっていた。
自分を変えるために、屍体を探し出せ！

簡単に述べるとそういうお話。展開が展開だけに全編にわたって閉塞感と痛さを感じてしまう。
カバー裏には「四人ともモデルは俺です」なんてコメントも。
終盤の真相が明かされたときはこのパターンだったのかと驚いたけれど、そこに漫画家になる夢が一役噛んでいたりして、「なるほどこういう処理もできるのだな」と感心した。
結末はこの著者にしてはさわやかなもの笑でわるくない。

ミステリ 　：☆☆☆
ストーリー ：☆☆☆☆
人物 　　　：☆☆☆☆
文章 　　　：☆☆☆

2014/03/22

漫然と日々を過ごしているフリーター四人が廃墟で屍体を発見。通報もせずそれを素材にした映画を撮ることにしたが、再び訪れたときには屍体が消えていた…
前半は語り手の鬱々した心情描写に少々気が滅入ったが、ストーリーは淡々と進むので読みやすい。
この作者ならもっと捻ったオチかと思ったが意外に普通。でも予想外に爽やかなラストはよかった。