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宗教が往く(下) 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2010/11/10 |
JAN | 9784167801090 |
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商品レビュー
4
6件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これは現代の自然主義文学か、と思うほど松尾スズキは現実を生々しく切り取ってみせた。そして切り取った現実から、血なまぐさい、あるいは単に生臭いものを漉しとり、松尾流の「愛」と撹拌して物語に仕立て上げた。タイトルに宗教とあるけれど、物語にはなまやさしい救済は存在しない。汚いものを汚いまま、醜悪なものを醜悪なまま描き、そうした文脈で愛を語ることができるのは、おそらく松尾スズキくらいではあるまいか。 立ち上げたコント集団、劇団が、大きくなり宗教集団となればなるほど、それは破滅的終焉を予期させる。毎頁のように流される血、涙、糞尿や呼吸をするように行われる性交は、どれも破滅に突き進むモチーフのように思える。そこで描かれる「愛」もまた、結局のところ破滅である。さらには終盤、唐突に松尾スズキは自身とかつての女のリアルな愛をも作品に持ち込み、描かれたフィクションとないまぜに物語は進行する。あたかもメタフィクション的だが、待ち受けるのはまたも破綻だ。 松尾は終盤「愛の絶対を書こうとした」と本音ともいえる呟きを挿入している。この長いラブストーリーは、何ひとつ救済しない。松尾の思惑から、もはや物語は独り立ちしているかのようだ。愛ゆえにことごとくおのが身を亡ぼす奴らしかいない。だが、そうした汚穢まみれの物語を丹念に読めば、わずかばかりの光る「愛」をすくい取れるように思える。優れた物語とはそうしたものなのかもしれない。
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一気に読破。ウーンやっぱり松尾さんは天才だなあ。これでもかというぐらいに乱暴に丁寧に伏線を回収して、これでもかというほどに片付け散らかして物語を畳んでしまう……。美しいのか醜いのかまったくわからない。
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ざっと読んで放置していたのをきちんと再読したのは、舞台の「ふくすけ」を見に行ったから。全く違うストーリで面食らったが舞台は舞台でおもしろかったですよ。自分はエムコよりミツコ派です。
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