おもしろサイエンス 鉄鋼の科学 B&Tブックス

菅野照造【監修】, 鉄鋼と生活研究会【編著】

• 販売会社／発売会社: 日刊工業新聞社
• 発売年月日: 2010/05/25
• JAN: 9784526064722

商品レビュー

2023/11/03

新日鉄と住金が存在する時代、少し古い本。
文明に欠かせない鉄の科学的な話や電炉や高炉の業界的な話。勉強になる。

人類が最初に鉄として利用した鉄鉱石はシンデライト。現代の鉄鉱石の代表的なものは磁鉄鉱。70%以上の鉄分、マグネタイトと呼ばれる。同じように多く存在し、産出量も多いのが赤鉄鉱。これも70%の鉄分を含みヘマタイトと呼ばれる。

鉄にケイ素を添加すると耐熱性が高まり、ニッケルを添加すると粘りや強度が高まる。クロムを添加すると耐摩耗性が高まり、チタンを添加すると耐食性が高まる。ケイ素とマンガンを1%程度添加した鋼材が、高張力鋼と言われる。

鉄骨構造で使用される鋼材の約70%がH形鋼と言われている。電炉での生産比率が全体の約7割を占めている。H形鋼はほとんどが店売りであり、鋼材相場の基準にもなっている。廃材は大きな切断機によって鋼材メーカーに出荷される。この切断機をギロチンシャーと呼び、鉄スクラップを電気炉で溶解できるサイズに切断する。

ステンレスのクロムは不動態皮膜を作っているが何らかの原因でこの膜が破れても大気中の酸素と水と反応してまた皮膜を作る。自己修復機能はまさに無限。

スウェーデン鋼はスウェーデンで生産されるステンレスで包丁で有名。ホットスタンプとはスタンプのように材料に箔を押し付ける方法。

検索すれば調べられる内容だが、こうして体系的に学ぶには、やはり本が良い。

2011/12/19

ところどころに誤字・誤植あり。
ストーリー性に乏しく、物切れの項目立てで全体としては頭に入りづらかった。ただ、個々の情報は、頭の中にある全体体系の部分補完として有用なものも少なくなかった。